探偵は愛に生きる (ページ6)

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S ページ6

「・・・え？嘘だろ」

向かいに座るじゅんが、小型カメラが入っている鞄を、さり気ない場所に置き、ターゲットの待ち人を待ち構えていると、何の事は無い
現れたのは、見るからに好青年と思われる男性だった

・・・俺は、その男性をただ食い入る様に見つめていて・・・

「・・・さん！しょうさん！！」

小声ながらも、呼び続ける声に漸く反応した

「あ、ごめん・・・」

今更ながらも、目を男性から逸らす

「見過ぎ」

笑って言うじゅんに笑い返して、ピースサインを送る
意味を理解したじゅんが、渋い顔だけ送ってくる
懐が潤ったというより、今度の給料がこれで払える
そう思ってしまう
情け無い話だが、それ位かつかつだ

すまん！お前達の給料に有り難く使わせて頂く

「そろそろ出るよ」

写真を撮り終えたのだろう
じゅんがそう言って席を立ち、勘定を済ませる

俺達は、振り返らずにその店を後にした

「あー！？嘘だろう！絶対女が来ると思ってたのに」

店を出てタイミング良く横付けされた車に乗り込み愚痴をこぼすじゅん

「おかしいなー、・・・絶対黒なのに」

耳に着けていた通信機のイヤホンを外して、和が車を発進させる

車窓から、今迄いた店の向かいにある二階の喫茶店に目をやる

・・・・居ないか

「しょうさん、恋も良いですが今は仕事に集中して下さい」

バックミラー越しに、ちらりと俺を見た和が嗜めてくる

「こ・・・恋///」

「しょうさん！今日は偶々だった可能性もあるんだから、二万は未だ払わないからな！」

助手席に乗ったじゅんが、後部座席に座る俺に振り返りながら言ってくる

「えーーー！今日来るかどうかの話だろ！？」

お前らの給料なんだぞ！！
情け無い話だが！！

「違いますよ、黒か白かの賭けです」

くそーー！2対1じゃ不利だ！！

「・・・分かったよ」

泣く泣く承諾すると、前の二人がパチーン！とハイタッチを交わす

仲の良い光景に、苦笑するしか無い

「和、此処で良い」

「え？帰らないんですか？」

不思議そうに返しながらも、和が路肩に車を止める

「ああ、じゅん鞄寄越してくれ」

「・・・何してんの？しょうさん」

カメラが入った鞄を受け取りながらも、着替えを済ませキャップを被る

「・・・戻る」

にんまり笑って車から降りる

「お前らはもう帰っていいぞ」

そう言って俺は、さっきまで居たバーに向け

歩き出した