探偵は愛に生きる (ページ4)

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O ページ4

「ただいまー」

「お帰り～、思ってたより時間かかったね？」

「ふふ、壊したのはあいばちゃんでしょ？
・・・どう？」

機械の前で操作し続けるあいばちゃんの傍らに立つと、にんまり笑顔が見上げてくる

「ばっちり♪聴く？」

渡されたイヤホンを耳に当てると、さっきまで一緒だった男の声が鮮明に聞こえてくる

「成功だね」

「怪しまれなかった？」

あいばちゃんがイヤホンを受け取りながら、少し不安そうな顔で見上げてくる

不安になる気持ちは分かるけどね
相手は初めて仕掛ける同業者

だけど・・・

「ふふ///」

「何？」

「んーん、何でもない。でも、多分大丈夫だよ。
何か進展しそうだったら教えて」

あいばちゃんから離れて、隅に置いてあるソファーを倒して、簡易ベッドに切り替える

「了解！」

あいばちゃんの頼もしい声を聞きながら、簡易ベッドの上に横になって目を閉じる

・・・少し悪い事したな

『死にたくねー！！』

「んふふ///」

つい声に出して笑ってしまう
向かいの机で仕事するあいばちゃんをちらっと見ると
イヤホンを耳に当てて、真剣に聞き入っている

良かった
聞こえてなかった///

閉所恐怖症・・・だったら、エレベーターに乗らないか
そんなに怖がるとは思わなかった
もう少し性格や、苦手な物を調べてから、実行に移せば良かった

本当は、逆のバージョンの予定だったんだけどな
怖がる俺に、声を掛けて来た瞬間に抱きつき、襟首の裏に盗聴器を仕掛ける

・・・抱きついた部分は同じだけど
俺が宥める方になるとはね

怪しまれない様に、練りに練った作戦だったけど
・・・これからは使えないな

エレベーターの仕組みを、沢山勉強したあいばちゃんには悪いけどね

・・・さくらいしょう

・・・真っ赤にした顔
ぎゅっと、素直に閉じられた瞳

俺に惚れたというその人に
御免ね、
怖がらせて
謝りたいけど、謝れない想いをのせて
触れた唇

届いてはいないだろうけど

逃げる俺を必死に追いかけてきて、名前を聞いてきた

名乗ったのは、偽名

嘘つきで御免ね

もう、会う事は無いだろうけど

御免ね、しょう君

俺達のターゲットは、君に依頼した奥さんだよ

この勝負

勝ってみせる