探偵は愛に生きる (ページ16)

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俺ら三人の事務所に、新しく二人の人材が入って来たんだけど・・・

「行ってきまーす」

その内の一人、まさきが満面の笑みで精力的に働く中・・・

「行ってらっしゃ～い」

ふにゃふにゃだ・・・
力が抜けるだろーが！
俺の特等席のソファーに身を置くもう一人のそいつ

・・・かっこいい奴じゃん
って、思ったんだけどなー

和は感激して、

「社長交代ですね」

って笑ってたけど
つーかこの会社が、そんなに懐厳しかったの俺知らねーし
そりゃー、未払いもあったりしたけど、ちゃんと翌週とかには貰えてたから、どうにかやってんだな

簡単にそう思ってた

だけど、社長交代する必要は無いだろ？
まー、あいつは辞退してたけど
でも、その辞退の理由も
社長面倒くさいからいい、だ

何だそれ？
そんな奴が本気でこの仕事をしてるとは思えねーよ

・・・・寝てるし

「・・・おい！」

「ん、何？」

ソファーに寝るそいつに声をかけると、直ぐ返事が返ってきた

んだよ、起きてたのかよ

「俺、チラシ配りに外出るけどあんたは？」

「ん、俺も行くよ」

時計をちらりと見た後に、ひょいって起きて、意外な返事

「・・・手伝ってくれんの？」

「ん？一番大事な仕事でしょ？」

「・・・そうだけど・・・」

チラシ配りは当番制で、あんまり手応えを感じた事が無い仕事で・・・
大抵はイタ電で終わったりする

「じゃ今日は、○○団地の予定だから」

「あー、そこかー、挨拶がてら丁度良いや」

ふにゃふにゃ・・・

「知ってんの？」

「んー？まー、知りあいが何人かね」

両手を頭の後ろで組んで、ふらふら出て行くそいつ

・・・ティッシュが入った段ボール箱は、手伝ってくれないのね？

よっと持ち上げて、出入り口に向かうと、ドアが開いてる事に気付く

「来ないと思ったら、何それ？」

段ボール箱2個積み重ねてるから、前じゃなくて横からそいつを見ると、苦々しい顔

「チラシが入ってるティッシュだけど？」

「はー・・・ったく！」

重みが軽くなる

「これ、後在庫どんぐらいあるの？」

一つ段ボール箱を持って聞いてくる

「四つぐらいだけど？無くなりそうだから、しょうさんに言わないと・・・」

「・・・要らねー」

は？

「しょう君には俺から言っとくよ、時間無いから早く行こう」

段ボール箱一つ持ってさっさと出て行く

・・・要らねーの、これ？
さっきは、大事な仕事だ、って言ってたのに

腕の中の段ボール箱

半分軽くなったそれを、俺は暫く眺めてた