ER [ars. so]

引き金を引く者�� ページ40

《A》




その日のしょうちゃんは朝からご機嫌で、
むやみやたらに笑顔を振り撒くから、看護師さん達のテンションは爆上がり。
結果、皆の士気が上がる効果をもたらしてたから、看護師長は苦笑するだけで、見ないふりしてた。



「まさき、この前の詫びに今度飯奢らせて」


語尾に♪が付いてる奢りのお誘いに、説明も無く去って行ったしょうちゃんの背中を見ながら、俺のテンションも上がって、大部分の人が、今日はきっと良い日だ。

って、…勝手にそう思い込んでたと思う。







しょうちゃんはその日、



沢山の引き金を引かれた。









始まりは一本の電話。



大ちゃんがいないから、しょうちゃんがその場を仕切る立場だった。

皆の目が変わった中、しょうちゃんは落ち着いて指示を飛ばし、交錯する声も拾って、間違いが起きない様
誰がどう動くか、ちゃんと連携も取ってた。


情報を拾う為に付けたテレビが、最初の銃口を突きつけ、しょうちゃんの頰を掠めたんだって、…今なら、分かる。




［現場は凄惨な有り様です！この青谷建設は普段から安全視が指摘されており！……！］





「…酷いね。あの状況だと、電話が掛かってきたのは
　うちだけじゃすまないね…」




［近所に住む住隣の話を聞くと、事故は一度ではなく
何度か目撃されており…］




「しょうちゃ……」


返事が返ってこないから、言葉だけで問いかけた。


「…何でも無い。行くぞ」


「…うん」


俺は、…馬鹿みたいに最後迄テレビに映し出された凄惨な事故現場ばかりに気がいっていて、


しょうちゃんがその時どんな顔してたかも、
震えた語尾すらも、


気付かない阿呆で…。



ただ、



早く来い！
絶対助けるから！



頭ん中はそれでいっぱいだった。

引き金を引く者�□�←開かない洗濯機

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