夢物語 ページ9
「どうして今まで黙ってたの？」
取り敢えず遅い朝ご飯を済ませ、オープンの準備をし
定位置の椅子に座ってから、ようやく隣に座るさとし君に聞いてみた
あの後何度か話しかけても、返事は首を横に振られるだけで
俺は未だ「おはよ」の、三文字しか声が聞けていない
「昨日、お巡りさんの所に行ったのは理解してる？
あの時、自分の事・・・」
自分が尋問口調になってるのに気付けたのは
「綺麗な絵だね」
彼の目が、キラキラした目で絵本の絵を追っていたから
「彼は空を飛びたいという夢を
夢の中で叶えてるんだ」
夜空をペガサスに乗って羽ばたく姿
少年は星に触れ、月まで辿り着く
「夢だけど、それでも彼はこんなに笑ってる」
言葉を理解しようと、さとし君の目が俺の口をじっと見る
『おはよ』
そのたった三文字が
その、思い掛けないハッキリとした口振りが
俺の中で、昨日のさとし君を全部無かった事にしてた
「でも、目が覚めると忘れてしまうんだ」
さとし君は何度も、そして今も俺の口をじっと見る
それはどうして？
「そして又彼は夢をみる
空を飛びたいと」
草原が風に吹かれなびく中
少年は空へと手を伸ばす
「でもね、夢の中の少年と
現実で手を伸ばす彼の顔は、同じなんだよ」
手を繋ぐ
そんな事も知らない
クレープは紙ごと食べるし、手を出すとその手も食べられる
頭を撫でると
何だろう？と目が上を向く
俺が起きるまで
泣く程トイレをしたくても、起こさずに我慢を選ぶ
自ら繋ごうとはしない手
遠慮がちに、服の端っこを摘む手
それが彼の精一杯なのかも知れない
『おはよ』
の三文字
勝手な思い込み
彼は話せないんだと
何処か頭の病気かも知れないと
彼は話せるんだと
全部嘘だったんだと
俺は騙されたのかも知れないと
「ほらね、同じ顔で笑ってる」
昨日と変わらない顔で笑う君が
嘘じゃないと
俺に真実を教えてくれる
「お終い」
「・・・・おしまい」
「うん・・終わり」
蚊の鳴くような声だった
彼の手で、戻っていく絵本のページ
最初から見始めた彼の柔らかな髪を撫でると
嬉しそうに目が閉じられる
君のその笑う姿を守るには
俺はどうすればいい？
昨日初めて会ったのに初めてじゃないような
既視感
「それは夢見過ぎかな(笑)」
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かおる(プロフ) - じゅーくろーさん» 此方こそ、いつも有り難う御座います。返信が遅くなり申し訳ありませんでした。新作、出したので、又お暇な時があれば、お越し下さい。本当に、いつも有り難う御座います。 (2020年8月9日 13時) (
レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
じゅーくろー(プロフ) - さとしくんが幸せになって良かった。大団円ですね。じゅんくんの存在が偉大すぎる！(笑)教育的指導出来るのは、彼しかいない。しょうとまーは、さとしの可愛さに溶けちゃってますもんね。ニノさんも幸せ掴んで欲しいな。ありがとうございました。 (2020年7月22日 0時) (レス) id: 26990fcaa5 (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - じゅーくろーさん» 関係は、難しいですね。でもかずは、暴力は決して振るいませんでした。幼き日に、力で捻じ伏せられた。それと同じ行為は決してするものかと。でも、守られなかった自分もいる訳で、色々な葛藤、後悔、それでも…。だから、彼はさとしと離れる事で進めた。そんな彼でした (2020年7月18日 13時) (レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - masaoさん» 有難う御座います(*´ω｀*)一人でも良かったけど、もう一人のしょう君に出張って貰いました。理解して連れ添ってくれる人がいる。なんで、彼はこれから心穏やかに過ごせられるかと。 (2020年7月18日 13時) (レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
じゅーくろー(プロフ) - かずとは、一体どんな関係だったのか気になります。番外編楽しみです。いつも更新ありがとうございます。 (2020年7月17日 23時) (レス) id: 26990fcaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かおる | 作成日時：2020年6月30日 1時
