初めまして ページ1
ぽりぽり
「・・・」
ガサガサ
バリ
ぱりぱり・・・ぱりぱりぱり
「・・・」
あー、・・止めた方が良いんだろうか
俺の右下に男性が一人
何故下かと言うと、彼はしゃがんでいるのではなく、行儀よく、正座して座っているからだ
そして、陳列されたお菓子のパッケージを開け、ポリポリパリパリと食べている
そう、食べてしまっている
「あのー、そういう事は「何してる！？」
あ、ですよね
誰かが店員に言いに行ったのか
突如通路の間から大声で現れた店員
食べてた男はビクッとなって店員を見つめたまま固まってしまい、逃げようとする素振りも見せないまま
店員の手に直ぐ捉えられた
「ちょっとお話したいので、こちらに来て下さい」
店員の男が、
周りの目を気にして、口調は幾分抑えものになった
しかし男の腕を引っ張る手は
立ち上がる暇も与えない程手荒く、男は立ち上がるタイミングすらなくて、もつれて転びそうになってしまっていた
半ば引きずられる形で連れて行かれる姿は
中々見ていて可哀想になってくる
どうすっかなー・・
万引きは断然する側が悪い
それは痛い程分かる
俺も小さいが店を構えている身だ
分かる、が・・・
華奢な背中が視界から外れそうになった
相手は子供だろ？
「この子は逃げようとはしていない」
引きずってでも引っ張ろうとする店員の腕をやんわり掴み、間に体を割り入れ、背後に立つ彼を庇う様に立つと
それに神経が逆撫でられたのか、店員の矛先が俺の方へと変わる
お前も仲間か！？
とか、ありきたりな質疑応答を公衆の面前でやり始めた店員に、余計な世話だっただろうかと背後の彼をチラリと見ると
男がじっと俺を見ていた
それまで後頭部と、後姿しか見ていなかったから
男の顔に一瞬驚いた
子供じゃなかった
それに、彼は美人さんだった
とても万引きというか、こんな事をする様な人には見えなかった
美人だから悪い事をする筈がない
なんて馬鹿げた妄想は持ち歩いてはいないが
その幾ばくか茶色かかった垂れた目には、罪悪感も恐怖もなくじーっと俺を見つめるだけで
ましてや、助けを請う訳でもない男の目に
俺は思わず笑ってしまった
そしたら何故か、そいつもふにゃんと笑ったんだ
これが俺と君との出会い
あの時声を掛けて良かった
今でもそう思うよ
君に会えて、良かった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かおる(プロフ) - じゅーくろーさん» 此方こそ、いつも有り難う御座います。返信が遅くなり申し訳ありませんでした。新作、出したので、又お暇な時があれば、お越し下さい。本当に、いつも有り難う御座います。 (2020年8月9日 13時) (
レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
じゅーくろー(プロフ) - さとしくんが幸せになって良かった。大団円ですね。じゅんくんの存在が偉大すぎる！(笑)教育的指導出来るのは、彼しかいない。しょうとまーは、さとしの可愛さに溶けちゃってますもんね。ニノさんも幸せ掴んで欲しいな。ありがとうございました。 (2020年7月22日 0時) (レス) id: 26990fcaa5 (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - じゅーくろーさん» 関係は、難しいですね。でもかずは、暴力は決して振るいませんでした。幼き日に、力で捻じ伏せられた。それと同じ行為は決してするものかと。でも、守られなかった自分もいる訳で、色々な葛藤、後悔、それでも…。だから、彼はさとしと離れる事で進めた。そんな彼でした (2020年7月18日 13時) (レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - masaoさん» 有難う御座います(*´ω｀*)一人でも良かったけど、もう一人のしょう君に出張って貰いました。理解して連れ添ってくれる人がいる。なんで、彼はこれから心穏やかに過ごせられるかと。 (2020年7月18日 13時) (レス) id: 17862cad9e (このIDを非表示/違反報告)
じゅーくろー(プロフ) - かずとは、一体どんな関係だったのか気になります。番外編楽しみです。いつも更新ありがとうございます。 (2020年7月17日 23時) (レス) id: 26990fcaa5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かおる | 作成日時：2020年6月30日 1時
