松の詰め合わせでございます【おそ松さん短編集】

私の事も見てくれませんか。(天光) ページ12

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「それでさ〜またトト子ちゃんが可愛いんだよ！

　いないでしょ、あんなに素直に気持ちを伝える子って！」


今日もチョロ松君は、弱井さんのお話ばかり。

私が何も言わないのを良い事に、彼は口に油を塗ったように語り続ける。


…正直言うと、つまらない。


でも、彼と話す事が好きな私は、今まで一度も彼を咎めなかった。

まあ、やっぱり密かに傷付く所はあるのだけれど。


……ねぇ、チョロ松君。本当はもう、気付いているんでしょ？

私が貴方の事を好きな事くらい。


今迄ずっと一緒にいたんだから…いい加減、分かって下さい！

鈍感にも程がありますよ、チョロ松君！


「それでさぁ…ってA、聞いてる？」

「あ、聞いてます、聞いてます。で、弱井さんがどうかしたの？」


私がそう言うとチョロ松君は、顔を顰めて頬杖吐く。


「やっぱ、聞いてないじゃん。

　だから、トト子ちゃんがアイドルになりたい、って言い出したんだって！」


やっぱり、貴方が興味があるのは弱井さん。

そりゃあ、弱井さんが可愛いのは認めますよ、ええ、認めます。

私だってそこまで、意地を張るつもりはないので。


でも、話を聞く限り弱井さんはチョロ松君の事を、異性と思ってない。

それなら邪魔しちゃえ、と私の中の悪魔が不貞腐れて言う。

でも、本当に好きな人なら応援するべき、と今度は天使が言った。


ねえ、チョロ松君。弱井さんは止めて、私にしない？

確かに私は弱井さんよりルックスは良くないけど、

でも絶対に誰よりも私は、貴方の事が好きだよ？


そろそろ、我慢も限界です。


ヘタレなチョロ松君の事だし、このまま弱井さんに何も伝えないままなんでしょ？

それなら私にするか、とっとと思いを伝えて、くっつくかなんかして下さい。


何て思う一方で、諦めればいいのに、

…と思う私がいるのも、悲しい事に事実なのだけれど。



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