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君の傷 ページ2
職員しか知らないパスを打ち込み屋上の扉を開く。
周りに高い建物がないおかげで、優しいオレンジの夕日が飛び込んでくる。
大「A？」
夕日と俺の間、手すりにもたれじっと前を見る後ろ姿。
名前を呼んでも振り向かず、声も聞こえない。
そっと近より隣に並ぶ。
Aの顔には、キラキラと夕日を反射させて光る涙が止めどなく流れていた。
俺は声をかけることもできず、ただ隣に立ち尽くすしか出来なかった。
『・・・田崎さん、温かかった。』
前を見たままボソッと話す。
『私がお部屋に行った時握った手、まだ温かかったんです。
私がもう少し早くお部屋に行っていれば何か変わってたんちゃうかと思うと・・・』
大「Aのせいなんかじゃない。
田崎さんは天寿を全うしたんや。
幸せそうな顔してたもん。」
Aが崩れてしまいそうで、俺は咄嗟に抱き締めた。
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作者名：かおり | 作成日時：2015年9月29日 22時
