九十話 ページ43
「貴女が私を守ってくれてたんだね
もう一人の私」
気づかぬうちに私は
二重人格になっていたようだ
《二重人格》
一人の人間の中に、二つの全く異なる
人格が交代して現れること
互いに他方の人格にあるときの行動を
想起できないことをいう
そう、書いてあった
いつからだったのだろう
私がこうなってしまったのは
『さぁな
私は目覚めれば他人に殺せと
命令され、ただ殺めるためにいる』
「あぁ…そうか」
押し付けたんだ、もう一人の私に
私自身を守るために
「ごめん…ごめんなさい
私自身だとしても
貴女に苦しい思いをさせてしまった」
『苦しくなどない
これが私の存在意義なのだから
そして、殺すことが楽しい』
はっとしてもう一人の私の目を見る
カメラ越しで見たあの表情を
目の前でしていた
「もう、殺さなくていいの
絶対人を殺さない…
貴女に殺させない」
『そんなことできない』
「やってみせる」
『…もし
大切な人が目の前で
殺されたら？』
「！！」
『お前は、大切な人を殺した奴を
見逃せるのか？』
…もし、オールマイトや
先生、生徒が殺されたら…
「わからない」
『「また」一人になるのか？』
「…一人は嫌」
『ほら、私が必要じゃないか』
「でも貴女に任せっきりに
なるのも嫌」
『私はお前でもある』
「でも私じゃない
…もう大丈夫だよ
今までありがとう
私は、『一人で』歩いていける」
もう一人の私に歩み寄り
優しく気持ちを込めて
言葉を紡ぐ
『！』
「貴女の記憶も
私の記憶も
一人の人間として
受け入れる」
彼女は震えた指で
私の背中に手を回す
そして、今までとは違う声音で
『…さようなら』
そう言った
もう二度と会うことはないだろう
またねなんて言わない
「さようなら」
これでよかったんだ
瞬間、記憶が飛んでいたものが
私の中に入り込んできた
血なまぐさい過去
ずっと、目を背け続けてきた
私のやってきたこと
血だまりの中で
高らかに笑っていた私自身
時は過ぎて
近い過去では
爆豪君の事も
もう一人の私は知らなかった
そして、オールマイトの事も
はっきり言って私は
警察のお縄行きだろう
それは仕方ないことだと
分かっている
一生を檻の中で過ごすことになろうと
目を背けずに生きよう
ずきりと
脈を打つ音が聞こえた
そろそろか
夢の世界から覚めるまで
あと少しだ
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スプラン(プロフ) - 蒼いイルカさん» コメントありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません（汗）私自身文才力がないので不安でしたが、そう言っていただけてとても嬉しいです！これからも少しずつですが、更新させていただきますね！ (2017年10月8日 23時) (
レス) id: deb731a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼いイルカ - はじめまして！蒼いイルカと申します！小説読ませていただきました！！オールマイトが好きで、こういう二人の関係がすごくいいなと思いました！主人公とオールマイトの会話もとても好きです！続き楽しみにしています！ (2017年10月3日 20時) (レス) id: e72557d35c (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - 朱里さん» コメントありがとうございます！感情移入してくださるとは…！嬉しい限りです！毎日更新できず、申し訳ありません（汗）今日から三日間は時間があるので、できる限り続きを書かせていただきますね！ (2017年9月16日 19時) (レス) id: deb731a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 主人公がオールマイトへの嫉妬をぶつけているシーンで涙が出ました。続き、楽しみにしています！ (2017年9月16日 17時) (レス) id: 5e4d9538d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スプラン | 作成日時：2017年9月7日 1時
