26話 ページ29
彼の放った言葉がまるで胸に刺さったかのように痛い。息が苦しくてどうしようもなかった。
「…私なんかで良いのか」
「君じゃないと嫌なんだ」
煉獄さんは分かっていないのだ。私がどれほど冷たい人なのかを。そして昔からひねくれている事だって。私は声のトーンを落として言い放った。
「煉獄さんは分かっていない。きっと私は貴方が思っているような人じゃないし、何より私の事情に貴方を関与させたくない」
それに彼を私の世界に巻き込んでしまっても本当にいいのか。確かに煉獄さんの告白はすごく嬉しかったし、個人としては断る理由もなかった。
でも、私にはいろいろな責任が付きまとってくる。今更だが彼に負わせることになると瞬時に考えた時、私たちは友達としている方が適切だと思ってしまった。全く、こういう時に限って頭の回転が速くなる。
「俺はそんなに頼りないだろうか?君が思っている相手はそんなに良い奴なのか?」
あぁ煉獄さんは勘違いをしているんだ。私はつい言葉を滑らせた。
「好きな人は目の前にいる。でも好きだから遠くで見ていたい。幸せになってほしいとさえ想っている」
「…?」
…改めて言い直そう。
「好きだから、距離を縮めるわけにはいかない。この距離が心地いいんだ」
「君の想い人は…まさか」
「そのまさかだ。煉獄さん。貴方を心から慕っている」
ついに、言ってしまった。あぁきっと私が普通に生きている女性であればこんなにも深く考えなくて良かったのかもしれない。
煉獄さんは不意打ちを食らったかのように佇んている。そんなに衝撃的だったのかな?
「しかし残念ながら私はそこらの人とは違い、別世界に生きていかなければならない。その責任を煉獄さんに負わせるわけにはいかないんだ」
…あぁ、母さんはここまで見通してあの時そういう話をしたのか。自分の心に蓋をするなって事は、好きな人と結婚してほしいからという意味が含まれていたからで。
思い出すのが遅かった。もう後の祭りじゃないか。でも初恋は大体失恋で終わるから。そんなものだって言っていたし。
「Aが、俺の事を好き…?」
聞いてない。まじか。
「あの、さっきの話聞いていたか?」
そう言うなり煉獄さんに呼びかける。
「好きなら別にいいだろう!なぜ拒むんだ?」
「だから!迷惑かけたくないんだってば!それに、言ったよね!?私は…」
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スプラン(プロフ) - 紫陽花さん» コメントありがとうございます!すみません、剣道に関してはど素人で適当につけた設定でした…!詳しく調べて、改めて書き直します!ご指摘ありがとうございます! (2020年2月19日 22時) (レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - すみません、大変面白く読ませてもらっているのですが、一つ気になることが…。9話で主人公さんが「剣道6段」を所持しているとのことですが、まず、剣道6段の昇段試験を受けるには、年齢制限で最低28歳になってないといけません。少し現実的ではないかと… (2019年9月16日 20時) (レス) id: cb5753e0d8 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - ラムさん» 40票目ありがとうございます(`・∀・´)パソコンの部屋にエアコンがなくて手詰まり状態です…もう少しお待ちください(´・ω・`) (2019年7月29日 0時) (レス) id: 07c7378595 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 40票目の星は頂いたぜ!!ほんとにこの作品にはドキドキさせてもらってます!! 更新頑張ってください!!!!!!! (2019年7月26日 13時) (レス) id: a84576bae2 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - 星ポッチが30になってました!アリガトウゴザイマス! (2019年7月12日 23時) (レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スプラン | 作成日時:2019年6月24日 23時