20話 ページ23
「ほら、出来たから。食べて気持ちを切り替えましょう？」
トマトの良い匂いがする。いつもより上手に出来たので私も食べたいぐらいなのだが、ここは我慢しよう。
「いただきます」
彼は食べ始めるといつも笑顔になる。ほら、さっきまで落ち込んでたのに…ギャップが激しい彼は本当に見ていて飽きない。それにしのぶちゃんとの買い物の約束したのを思い出して、心が温かくなる。
たかが買い物ぐらいで…と思われるかもしれないが、私にとっては嬉しい事だった。学生時代の私は確かに人当たりは良い方だったと自負するが、元々の性格のせいで友達がいなかった。自慢ではないが変に天才肌だったこともあり、疎遠がちだったのも理由である。
「良い事でもあったのか？」
煉獄さんは私をじっと見ていた。そんなに見られたら穴が開きそうだからやめてください。
「顔に出ていたか？」
「鼻歌を歌う程には出ていたぞ」
うわ、まじか。わかりやっす！
ここは誤魔化さずに話しても大丈夫だろう。
「実は、今度友達と服を買いに行くんだ。私に似合う服を選んでくれるみたいでね…」
そう言うと、少し煉獄さんは考えて話し始める。
「その人は女性か？」
「あぁ。可愛い年下の子。たまに腹黒いけど、普段はとても優しい子だよ」
「そうか！」
私が答えるなり、安心した様子で笑った。それにしても今日の煉獄さんの百面相に拍車がかかって面白い。
「ははは、今日の煉獄さんは忙しないなぁ」
煉獄さんは顔の表情が固まる。またそれが面白くてケラケラ笑った。
「むっ！」
「すまない、あまりにも煉獄さんが面白くて…どうにも堪えきれなかった。許してほしい」
すると煉獄さんは困ったように笑った。いつもとは違う笑顔で、私の鼓動が跳ね上がる。誤魔化すように食べ終わった皿を受け取り、洗い始める。今日も緩やかな営業であった。
「楽しみなんだよなぁ…」
最近おしゃれとか必要なかったし…
「…気を付けてな！」
「勿論！」
その後も他愛のない話をして解散となった。
＿＿＿
「Aさーん！」
しのぶちゃんが手を振っていた。クリーム色のロングスカートがとても可愛らしい。それに比べて私はジーパンとノースリーブのラフな格好で来ていた。
「しのぶちゃん！ごめんね、もしかして待った？」
そう聞くと、しのぶちゃんは今着ましたと言って私の車の助手席へ座った。
「よろしくお願いします」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スプラン(プロフ) - 紫陽花さん» コメントありがとうございます！すみません、剣道に関してはど素人で適当につけた設定でした…！詳しく調べて、改めて書き直します！ご指摘ありがとうございます！ (2020年2月19日 22時) (
レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - すみません、大変面白く読ませてもらっているのですが、一つ気になることが…。9話で主人公さんが「剣道6段」を所持しているとのことですが、まず、剣道6段の昇段試験を受けるには、年齢制限で最低28歳になってないといけません。少し現実的ではないかと… (2019年9月16日 20時) (レス) id: cb5753e0d8 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - ラムさん» 40票目ありがとうございます(｀・∀・´)パソコンの部屋にエアコンがなくて手詰まり状態です…もう少しお待ちください(´･ω･｀) (2019年7月29日 0時) (レス) id: 07c7378595 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 40票目の星は頂いたぜ!!ほんとにこの作品にはドキドキさせてもらってます!! 更新頑張ってください!!!!!!! (2019年7月26日 13時) (レス) id: a84576bae2 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - 星ポッチが30になってました！アリガトウゴザイマス！ (2019年7月12日 23時) (レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スプラン | 作成日時：2019年6月24日 23時
