10話 ページ12
「御飯が出来ましたよ」
そう言って母様と煉獄さんが出てきた。ん?彼もご飯を作れたのか。
「おぉ、杏寿郎も手伝ったのか」
「はい!父上!母上に教えてもらいながら作りました!」
そう言うと、千寿朗君がぼそりと呟く。
「珍しい…」
「へぇ」
「さあ、戻りましょう」
____
食卓にお邪魔すると、私の分まできちんと用意されていた。もしかすると元からそういう流れになっていたのかな?
「わぁ…」
酢豚に白ご飯。副菜も入っている。後冷奴と春巻き。
とても栄養のバランスがいい献立だ。久々に手作りを食べるなぁ。
「「「いただきます」」」
まずはやはり酢豚からだろう。パクリと一口。
「…!!」
こ、これは。酢豚を口に入れたまま、固まってしまった。
「…酢豚は杏寿郎が作りました」
なんと表現したらいいのかわからない。まるで暴走族が口の中で走ってるみたい…とでも言えば伝わるかな。いや、私にもわからん。
「これはどうしてそうなったんだ」
父様、それは私も同感です。煉獄さん、料理ダメだったのか…ちらっと見ると煉獄さんは疑問符を浮かべている。
私は口に入れたものを飲み込み、無言で食事を再開した。その様子を煉獄家は見守りながら食事をする。
____
「ごちそうさまでした」
私は食べたものを洗い場に持って行き、食後のお茶を頂く。
「どうだった…?」
煉獄さんは私の方を見て聞いてきた。ちょっと控えめに聞いてきた感じ、きっと真顔でご飯を食べていたからだろうか?
千寿朗君の時は口出ししなかったが、煉獄さんに関しては遠慮することはないだろう。父様いるけど。
「正直に物申すと、初めて体験した未知の味だった。母様もきっと苦戦したであろうと思われる。お世辞でも美味しいとは言えないレベルだ」
そう言うと、煉獄さんはしゅん、と落ち込んだ。あぁ、そういうギャップやめて。可愛いから。
「けど」
すると煉獄さんは顔を上げる。いちいち表情が変わる煉獄さんを横目に少し笑いながら話を続けた。
「滅多に料理をしない煉獄さんが私のために頑張ってくれたんだろう?それがとても嬉しかった。だから無言になりながらも食べ切ったんだよ。次から時間があれば一緒に練習しよう…な?」
「…うむ」
私はズズーっとお茶をすする。お茶のおかげで口に残った『宇宙』が流れていくようだ。
「ほぉ」
父様は目をぱちくりさせていた。
116人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スプラン(プロフ) - 紫陽花さん» コメントありがとうございます!すみません、剣道に関してはど素人で適当につけた設定でした…!詳しく調べて、改めて書き直します!ご指摘ありがとうございます! (2020年2月19日 22時) (レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - すみません、大変面白く読ませてもらっているのですが、一つ気になることが…。9話で主人公さんが「剣道6段」を所持しているとのことですが、まず、剣道6段の昇段試験を受けるには、年齢制限で最低28歳になってないといけません。少し現実的ではないかと… (2019年9月16日 20時) (レス) id: cb5753e0d8 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - ラムさん» 40票目ありがとうございます(`・∀・´)パソコンの部屋にエアコンがなくて手詰まり状態です…もう少しお待ちください(´・ω・`) (2019年7月29日 0時) (レス) id: 07c7378595 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 40票目の星は頂いたぜ!!ほんとにこの作品にはドキドキさせてもらってます!! 更新頑張ってください!!!!!!! (2019年7月26日 13時) (レス) id: a84576bae2 (このIDを非表示/違反報告)
スプラン(プロフ) - 星ポッチが30になってました!アリガトウゴザイマス! (2019年7月12日 23時) (レス) id: d11eb7c59d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スプラン | 作成日時:2019年6月24日 23時