君想う夢・君恋し花 …５

愛を生む人 … ５４ ページ10

「…オレの、弟…？」

雪乃が口にした言葉が、オレの身体を突き抜ける…
何をどうすればそんなことになるのか、オレには全く状況が理解出来なかった

「何を…言ってる？弟って…アンタ宏光がオレの弟だって言うのかっ！！？」
「…そうです、宏光は私が２３年前にあなたのお父様との間に生んだ子です……あなた方とは、異母兄弟になるわ…」

膝で合わせた両手をギュッと握り込み、雪乃はそう言った、俯くこともなく、一直線上にオレの目を捉え、整えた声音が事実を事実として伝えてくる

そんな荒唐無稽な話があってたまるか…
宏光が…オレ達の……？

「ウソだ…」
「ウソじゃないわ、智久、…北山くんは、私達の血の繋がった弟なの、鑑定結果が全てよ…」

なぜだ？ユリアまでもが、オレを騙そうとしてる…
なんでだよ？どうしてこんな女の戯言を鵜呑みにして、一緒になってオレから宏光取り上げようとするんだよ…


「違う！！違うっっ！！そんなハズはないっ！！いい加減なことを言うなっ！！」
「いい加減じゃないっ！この報告書に書いてあることが、紛れもない真実なの！北山くんは、お父様の子なのよっ！」

「黙れよっっ！そんな下らないバカ話これ以上聞いていられるか！…オレは宏光の所に戻る、もうこれ以上アンタ達の話に付き合うつもりは無い」
「智久待ちなさいっ！まだ話しは終わってないのよ！！」
「うるさいっ！」

すぐさまオレは立ち上がり、宏光に会う為にドアを開けた

目に前には、青いスクラブに白衣を羽織った四宮がいた

「何処に行く山下…まだ話は終わってない」

「これ以上話すことなど無い、オレは宏光に会いにいく、きっと一人で心細い思いをしてる、…ソコ退けよっ！！」

オレの行く手を阻もうとするかのように、四宮が立ちはだかる、構わず押し退けようとした手が強い力で掴まれた

「離せッ！！」
「今はまだ薬が効いて眠ってる…、その間にオレからも話をさせてくれ…それが出来ないなら、お前を北山くんに会わせる訳にいかない」

「何の話だ？あの女たちと同じ話しなら、オレは聞くつもりは無い！弟なんて…オレは絶対に信じない」

「お前が信じる信じないは、オレには関係ない
オレは北山くんの主治医として、そして産科医としてお前と話がしたいだけだ…」

「産科医として…？」

聞き返したオレに、四宮はカルテを渡してきた


「いいか、頭を冷やしてコレを読め、お前は医者だ、それを心に置いて最終判断しろ」

愛を生む人 … ５５→←Gayasakuraです！始まりました！！！《追加の大感謝！》

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