愛を生む人 … ３８ ページ42
「何を…仰ってるのか……」
雪乃の告白は、余りにも突飛であり衝撃的過ぎて、私には言葉だけが耳に入り、語られた事は何一つアタマには入ってこなかった
「ゴメンなさい…突然こんな事…、でもとても似てるの…、２２年前に私の元から連れ出された、私とお父様との子に…」
握りしめたハンカチが、雪乃の涙を吸い取っていく…
その光景を、私はまるで映像の様に見つめていた
「お父様と貴女に、子どもがいたの？」
そんな事実、恐らく誰も知らないだろう、智久も…
「あの子が産まれた時は、まだお父様はお二人のお母さまと婚姻関係が続いていたの…、私には家族と呼べる人は誰もいなくて…授かったあの子が唯一、血の繋がりを持つ家族だった、お父様には時期が悪すぎると反対されたけど、私の意思であの子を産んだの…、誰に顧みられなくてもいい、あの子と静かに暮らせるなら、それだけでいいと…」
その話に、私の記憶が遡った
母が窓辺で、父が戻るまで何時間も立ち尽くしていたことを…、
寝る前に見た母が、朝も同じ場所にいた事を…そんな日が幾日も続いていた…
その目には、もう私も智久も写ってはいなかった…
「そんな…っ、貴女は、他の女に子ができたと聞かされた母がどんな気持ちになるか、何も考えなかったの！？」
「だから！だから、もうお父様との関係に終わりを告げるつもりだったの、あの子を連れて誰にも知られない場所で暮らすつもりだった、でもその矢先…、あの子が居なくなったの…」
「居なくなった…？」
聞き返した私に、雪乃は小さく頷きその日を思い出したのか、悲痛な面持ちでその日の事を話し始めた
「まだ歩けもしない時期…あの子をベビーカーに乗せて公園に散歩に行ったの…、天気も良くて風も穏やかで…、あの子はとても可愛い笑顔を見せてくれてた、その時突風が吹いたの…被ってた帽子が飛ばされて、ソレを探しに行った僅かな時間…見つけて戻ってきた時には、ベビーカーにあの子はいなかった…」
「警察には？捜索願は出さなかったの？」
「出そうとしたわ！でもお父様が、それを許さなかった…」
「どうして！？」
「…Ωは、山下の家系には必要ない、諦めろと言われたの…、子どもが欲しいならまた産めばいいと…、私にはΩだろうとそんなコト関係無かった、あの子だから、誰よりも愛おしかった…ッ…」
堪えきれなくなったように雪乃は顔を覆い、声を殺して涙を流した
ココにもう一人…間違った愛に深く傷ついた哀れな女がいた…
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GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» よろしければ覗いて見てくださればと思います、自他ともに認める無駄エピ職人なので、どれもこれもが長編ですが、他カポも取り揃えておりますので、また会ってやってくださいませ、《3》にもコメ下さっててありがとうございます、今後ともどうぞ宜しくお願い致します！ (2020年8月5日 13時) (
レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» こんにちは！こちらこそ初めまして！過去作へのコメ、ホントに嬉しいです！藤北お好きですか？ウチの子達を気に入って下さってありがとうございます、《君想》はかなり長いシリーズで、現在は藤北の子供のお話になっております笑笑、妄想大爆発のお話にですが、 (2020年8月5日 13時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 思わぬ展開になってきましたね！！もうダメなのか…と諦めかけていたところだったので嬉しいです。続きが気になってどんどん読んでしまいます…リアタイ出来ず残念ですが、まとめ読み出来るので嬉しいような気もしてます笑 (2020年8月5日 9時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 本当に申し訳ないです、余りにも藤北の絡みが無いので、書き手もモンモンとしています、ショートストーリーでなんかぶっ込みしようかと考えています笑笑、長いお休みも間もなくタイムアップ、令和もキスマイに塗れたいと思います！コメ大感謝です！ (2019年5月3日 10時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは！GWお疲れ様です！コメありがとうございます！おお、お子様アオハル世代ですね、キラキラの毎日が羨ましいです！ギルマリ、覚えて下さってて嬉しい、ベビエピは賛否両論なのは分かってるんですが、オメガバースなので避けられなくて、、、ご不快に思われたら (2019年5月3日 10時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：GAYASAKURA
| 作成日時：2019年4月13日 13時
