君想う夢・君恋し花 …４

愛を生む人 … ２８ ページ30

「ありがとな、大倉…、同じ年代のヤツらがスゲェ頑張ってるの見ると、オレも励みになるわ」

若手同士の賑やかな顔繋ぎも一通り終わり、オレと大倉はガーデンプレイスに置かれたデッキテラスで、飲み物片手に寛いでいた

「そうか？、役に立ったなら何よりや、でもお前ならオレらより遥かにいい仕事出来ると思うで、今は何してん？」
「ん？春から大学に行くことになってる、だから今は受験勉強一色だ、楽しみは全部後回し！」
「そりゃええコトや、大学楽しいで！どこ目指してんの？」
答えると、大倉の目が真ん丸になった

「流石やな、《トップオブ一流》やん！まあお前なら大丈夫やろ！」
「中々手強いけどな…でも、それくらいのコトが出来なきゃ、アイツは超えられない…」

「アイツ…？」
「ん…」
「そか…、そうかもしれへんな…」

大倉には、《アイツ》という言葉が示す人物が分かってる様だった…

「藤ヶ谷、まだあの花魁のコト…想ってるんやな…」
「奪い返すことはもう出来ないけど、せめてアイツと同じ立ち位置まで登らないと、宏光好きでいる資格、ないから…」

何年掛かるのか分からないけど、オレの出来ること全部、やり尽くすしか無いんだ…

たったひとつの恋…
ソレを見つけられたコトを、幸せに思うから…


ため息を吐いた時…ホテルの従業員が数人、芝生の上に置かれたキャンドルに、次々と火を灯して行った

「キレイだな…」

ランダムに置かれたキャンドル…、濃紺の空には白く冴えた満月…

一つ…そしてまた一つ…
暖かな光が幾重にも重なり、幻想的な風景を作り出していた


「間もなく、この庭に作られてる小川に光の群れが流れてきます、せせらぎの音と光が織り成す秋のミルキーウェイ…皆様、どうぞキャンドルが作り出す美しい星空をお楽しみ下さいませ」


ホテルスタッフの口上に、一斉に拍手が鳴り響く

「へぇ、ホテルも粋なことしよるな…」
「そうだな…」


星空、か…


君想橋での、再会…

ユリアの策略で宏光と二人だけになった…
それはたった数時間の、でぇと…

たこ焼き食って…ミョーなスピリチュアルの水晶玉覗いた…


《二人はDESTINY HALF、運命の半分だよ》


本当にそうなら…



どうか、どうか神様…


愛しいオレの《半分》を、この手に返してくれ




会いたい…
会いたいんだ…


宏光……──────────……ッ






「わぁ……キレイだ……」


流れてくる星達…



視線の先に、

オレは、《運命の半分》を見つけた

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