君想う夢・君恋し花 …４

愛を生む人 … ２２ ページ24

「…パーティ？なんで私がソコに行かないといけないんです？」

叔父からの連絡は、経済界のトップが集う懇親パーティーに、会社の代表として参加しろと言うものだった

「お前は本業は医者とはいえ、ウチの社の代表取締役に名前を列ねてる、創業者の直系でもある、今回は財界人も多く集まる特別なパーティーだ、これから取引をしたい企業のトップも来ると聞いている、顔を出すだけでいい」

「申し訳ないが今、宏光の体調が良くないんです、一人にしておく事は出来ませんので…」

ただでさえ堅苦しい空間、誰が好き好んで…

理由を付けて断りを入れようとした時、「トモ…」とソファの宏光が声を掛けてきた

「オレなら大丈夫…、大事な仕事なら行った方がいい…」
「宏光…」


弱々しい声で、そう伝えてくる
断れば、またソレを気に病むんだろう

宏光の性格を思えば、容易に想像出来た

「わかった、そうするよ……、叔父さん、パーティー行きますよ、その代わり宏光も連れていきます、一人にはしておけないので、…そのホテルに部屋を取ってください」


「そうか、わかった、来てくれるなら要求を飲もう」
「宜しくお願いします、じゃ詳しいスケジュールはまた連絡して下さい、では」

これ以上話すことも無い、

通知をoffにして、宏光の隣に座った

「オレは留守番でいいのに…」
「何言ってる、一人になんか出来ないよ、…たまには華やかな場所も良いだろう、気分も変わるかもしれない、そう言えば身請けの日からどこも二人で行ってないしな…」

誰にも会わせたくなくて…宏光がココにいることを知られたら、アイツが連れ戻しに来るんじゃないか…そんな不安がいつも消えなかった


でも、もう良いだろう…
例え何があっても、宏光がオレの元を去ることは無い…

「トモ…？」
「カラダは、大事にしないと…」

そしてオレは宏光を抱き締め、何気なさを装い手を腹に当てた…

産科医としての目に狂いが無ければ…


「愛してるよ…宏光…」


・・・・


「智久さんはパーティーに来るの？」

「ああ、何とか了解を取り付けた、身請けしたΩを連れくるらしい、厄介なコトだ…」
「そう…まさか本当にあの花魁を身請けするなんて思わなかったわ、パーティーには智久さんに会わせたいお嬢様も来ることになってるのに…」


「全くだ、…まあ今回は見合いより取引企業に顔繋ぎをしてくれればそれでいい、やっと《MIKUNI》の社長に会えそうだ…、智久には後継者として頑張ってもらわないと…」

愛を生む人 … ２３→←愛を生む人 … ２１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す