愛を乞う人 … 50 ページ26
「チャンスなんて、…何処にそんなモンあるんだ、今のオレは自分のコトで精一杯、トモから宏光取り戻せる立ち位置まで這い上がる方法なんか、何も無ぇんだよっ!」
自身の不甲斐無さに歯噛みしても、状況は変わらない、今ほど己に課せられた運命を呪ったコトは無かった
そして、全く無関係の大倉に八つ当たりしてる自分が情けなかった
「…帰れよ大倉、…これ以上いたらオレ、お前に何言い出すかわかんねぇ…、ゴメン…」
「気持ちは分かるけどな…そう腐んなや、人生の先は誰にも分かれへん、藤ヶ谷…宏光はまだトモに取られたワケや無い、まだ終わってへんで」
「大倉…」
「何がキッカケで状況が変わるかは、誰にも分からん、せやから諦めんなや」
失意を浮上させるような大倉の表情と言葉が向けられる、正直…オレは大倉がここまでオレと宏光に拘るコトが不思議でならなかった
「大倉、お前なんでそこまでオレと宏光の事に気持ち向けてくるんだ?」
そう聞くと、大倉はちょっと困った様に笑った
「まあ、乗りかかった船やし…、目の前であんな状況見せられたら、やっぱ最後まで見届けたいしな…」
ってよく分からない理由を述べてきた
そして笑って立ち上がると「またなんか分かったら来るわ」と出て行った
その背中を見送りながら、オレは大倉が羨ましいと思った、自分の意思でどこへでも行ける、制約のない時間と場所で、思う様生きていけるアイツを心底羨ましいと思った
どうしてオレは、アイツじゃないんだろう…
「なんでオレは、アイツや無いんやろ…」
桃幻楼からの帰り道、オレはそんな事を思いながら歩いていた
アタマの中には、取引で行った街で声掛けられた金色アタマの占い師の言葉が反芻されていた
《お兄さん、苦しい恋をしてるんだぁ、…うーん…あーでもゴメン、その恋は実らないなぁ 》
水晶玉を覗きながら、金パ占い師は気の毒そうな顔してオレを見た
《お兄さんの片想いの相手には、前前前世よりもっと前から決められた相手がいるんだよねぇ、誰もその二人を割くことは出来ないよ、その恋人達は二人で一つの存在だから、惹かれ合うコトが魂レベルで約束されてる、そしてこの先の未来も、必ず同じ時代に生きていくんだ、残念だけど諦めて》
ガッツリ落ち込むオレに、金パは慰めるように言葉を続けた
《でも救いはある、お兄さんは多分…片想いの人のソウルメイトだよ、情と言う気持ちの上では誰よりその人の一番近くにいる》
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まいまい(プロフ) - はじめまして!惹きこまれてどんどん読んでしまいました。どんなに運命に翻弄されても、2人が絶対結ばれると信じてます!カッコいい太輔とかわいい宏光をありがとうございます!! (2020年8月5日 9時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - kazuさん» 一段落のようなので、一日一話でもアップしていきたいなと思います!ラジオやミラツイも始まり、《たいすけたん 》にはうれしたのし大好きな春になりました!花粉に負けず頑張ります!コメ大感謝です! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - kazuさん» こんばんは!コメありがとうございます!お子様ですか、今日から新学期でしょうか、お母様は大変ですよね、亀アップなので申し訳ありません、覗いて下さりホントに有難いです、続き楽しみコメありがとうございます!年度変わりの忙しさもやっと (2019年4月8日 21時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» コメ大感謝です! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» あの衣装は似合わないですよね、渡辺大さんがあのマレフィセントや魔王やピンクタキシード着てもビミョーだと思います笑、今年の衣装も楽しみです!藤北曲が無いのが残念です、今年お留守番なんですね、いつか密かに同じ会場におられるかもと楽しみにしております! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2019年2月27日 0時