I wish to be your only one … L.O.V.E ７ th

Precious Lover … ３２５ ページ36

宏光を送って一旦ウチに戻る

帰りはオレが運転することにした、

何となく視線感じながら運転してたけど、ちょっと緊張気味な表情が、何とも可愛いというかいじらしいと言うか…

《藤ヶ谷宏光》であることを知って、マイナス感情を持たれたらどうしようかと、とても心配していたけど、オレのネガティブ思考は見事に覆され、またこの人と共にこれからの時間を繋げることが出来るようになった

今までは、友達の枠からはみ出ないように細心の注意を払っていたけど、もう気持ちを伝えても構わないんだ、と思うと身も心も多幸感に包まれた


隣にある左手…

薬指にあったアトは、もう消えてしまっていたけど、今日からまたオレとのマリッジリングがこの指に存在する

そっと左手を握ると、少し恥じらうような表情を見せるけど、オレの想いに応えるように指を絡めて恋人繋ぎをしてくれた

嬉しくて…胸の奥に込み上げる感情を、薬指へのキスに込めた


「ちゃんと…二つ一緒に持っててくれたんだ」

その言葉に、オレは鼻の奥がツンと痛くなった


「うん…二人で一つだから…」


《ひろがいるから、オレがいるんだ… 》
出会いからもう20年以上だ…、そう思わなかった日は1日も無い…

記憶を無くしても、オレのコトを忘れても…ひろの心はやっぱりオレを求めてくれた


その事実があれば、例えまた離れ離れになっても、オレ達は大丈夫だ…


最後の角を曲がり、自宅前に車を付ける…感知式のハッチが上がり、車庫に車を入れた


助手席のドアを開け、手を差し出すと口許を綻ばせ手を重ねてきた


「藤ヶ谷宏光さん、…おかえり」
「…う、ただいま…、でいいよな？」

ひろのハニカミ笑顔は、こんな風に今もオレの心を虜にする


二人でリビングに入り、オレはソファに腰を下ろすとひろを隣に座らせた


ネクタイを取り、ボタンを2つ目まで外す…


「ネックレス、取ってくれる？」
「うん…」

そして、オレの項に手が周り金具を外してくれた

2つのリングをチェーンから抜いて、そっとオレの手のひらに置いてくれる


「写真と同じだ…」

崩し文字のＴとＨを隣同士に置くと、一本のラインに繋がるデザイン…

いつまでもどこまでも…永遠に…


ただ一つの願いを込めて作った、オレ達のマリッジリング…


「嵌めてくれる…？」

そう言って差し出された左手を取った

そして、やっと互いの薬指に戻った愛の証…




「ずっと愛してたよ…、太輔」



そして、甘く切ない涙味のキスを交わした

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