I wish to be your only one … L.O.V.E ７ th

Precious Lover … ３１３ ページ24

１０年離れ離れ…アメリカと日本…

退院してアメリカ留学していたコトを聞いた時、太輔が返事を言い淀んでいたのを思い出した

きっと何も覚えていないオレに、どう言おうか迷っていたんだ

一度も会えない…声も文字も交わせない中、オレは太輔との再会をずっと待っていた…、そしてアイツもオレを…────…

2枚目の便せんには、その続きが書かれていた


《そして、オレと太輔は周囲の人の理解と心遣いで、ニカ、健永、裕太、宮田、そして横尾さんに見守られて、太輔がプロポーズしてくれた教会で家族になることが出来たんだ

「家族になろう…」高校の時に約束してくれた言葉を、太輔はちゃんと覚えててくれた

そして、10年分の切ない恋を幸せな愛に変えて、家族という形でオレにプレゼントしてくれた

小さな頃から家族に縁が無かったオレが、初めて自分だけの家族を持つことが出来た…、嬉しくて嬉しくて、こんなにもオレは幸せでいいんだろうかと、本当に怖いくらいだった…》


ああ、そうだ…

いつも…ふと気付くと、オレに注がれている太輔の眼差し、慈しむような…でもほんの少しだけ寂しさを滲ませていた、物悲しさを含んだあの表情の裏にあるのは、家族として傍にいても、その事を伝えれない苦しみだったんだ…

「…友達…、親友かな…」って、手術から目が覚めたオレに太輔は言った、それまでの記憶を全て無くしたオレに、自分の嘆きを告げることもせず、それどころか友達の境界線を越えようとしてくることは、あの日まで一度も無かった、いつもいつも、肩が触れるか触れないかの距離で、ずっとオレを見守ってくれていたんだ…


どんな想いで…太輔はオレの隣にいたんだろう…

胸が絞られるように痛い…
けど、オレの痛みよりももっと太輔は苦しかったに違いない…


《左手薬指のペアリング…太輔がデザインしてオレの指に嵌めてくれた…二つを合わせると一つに繋がるようになってる、お前の指には今、そのリングはあるのかな…？》


ペアリング…左手薬指…？

もう消えてしまったその名残に、オレは目を向け、ハッと、あるコト気付いた…

太輔がいつも胸に下げてるネックレスに通した二つのリング…アレは、オレ達の家族の証…？

時々、何かを想うようにリングに触れていた太輔…、きっと家族としてオレと過ごした日々を思い返していたんだ…


ただくんが言ってた…


手術の前、オレは誰かと想いを繋げていたのか尋ねた時、《自分で気づかな、意味無いんや》って…

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