I wish to be your only one … L.O.V.E ６ th

Precious Lover … ２４７ ページ7

「いつまで泣いてんねん、ええ加減にせえよ」

知らなかった事とはいえ、太輔を侮辱してしまった言葉に、オレは激しい自己嫌悪に陥った、動揺が止まらず感情が安定しないオレに業を煮やしたただくんが、呆れた様な口調で制止をかけた

「ただくん…」

アタマ一つ分大きいただくんの顔見上げると、明らかムッとした表情でオレを見ていた、見たことないその顔に、背中がビクリと反応した

父さんはオレ達の様子を見ていたけど、「大倉くん、宏光を頼むよ」と言って、奥の自分のオフィスに入ってしまった


「別に今生の別れとちゃうやろ！ベソベソベソベソ…けったくそ悪い…もうええから早う顔洗うてアタマ冷やせや、みんなもう来るで」

表情と同じ…キツい口調で洗面時をあごで示してくる、初めて見るただくんのオレへの態度に戸惑いすら感じてしまった

「朝から辛気臭いねん、後輩の士気にも関わるやろ、早う仕事モードに切り替えろや」

仕事なんて…太輔への謝罪もしないまま行かせてしまったのに、《しばらく連絡も取れない》と言うことは言葉がアタマをループしていた

だったら…

「ただくん、オレ…っ」
「アメリカ行かせてくれ言うんやったら、ムリやで」
「でも…っ」

オレの言葉も想いもバッサリと切り捨てるただくんの一言に、オレは食い下がろうと口を開いた、けどただくんはオレの言葉に耳を貸すどころか、不快感を露わにして反論してきた

「お前が今やらなアカンことは、藤ヶ谷追っかけてアメリカ行くことやないなろ？冷静になりぃや！」

「しばらく連絡取れないって…オレ酷い事言ったんだ、何も知らなかったから…ちゃんと顔見て謝りたいんだ、じゃなきゃ…っ」

太輔が最後に伝えてくれた言葉が、霞のようにかき消されてしまう…

「じゃなきゃ、なんや？嫌われてまうって？そんな事で嫌う様なヤツなら、ハナから止めとけや、大したことないで」

鼻で笑うようなその言葉に、オレはカッとなった

「なんでそんなこと言うんだよっ！オレは…っ」

続けようとして言葉は、ただくんの射るような瞳に封じられてしまう、いつも味方だと思っていたただくんの変わりように、オレは戸惑いと不信感が募った、睨みつけるように見るオレを、ただくんはため息を一つ付き諭してきた


「宏光、よう考え？お前何の為にこの事務所に戻ってきてん？建築デザイナーとして、仕事に誇り持ってクライアンさんと接してた自分を取り戻す為やろ？そう、ちゃうんか？」

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