I wish to be your only one … L.O.V.E ６ th

Precious Lover … ２８１ ページ41

「バカだなぁ…、僕は、何かをしてもらおうと思って絵莉花と一緒にいるんじゃないよ、絵莉花の傍が一番安心するから、一緒にいたいと思ってるだけだよ…」

草壁さんはそう言って、絵莉花さんと同じ目線に腰を下ろした

「旺さん…」

「これからの人生の中で、この家で絵莉花と過ごす時間が、僕にとっての最高に幸せな時間になる…、だから一緒にこの家を作ろう？、そして、ずっとここで二人で暮らそう、ね？」

顔を上げた絵莉花さんは、紅く染まった瞼と鼻先を隠すこともせず、草壁さんを見つめていた


「一緒に作っても…忘れるかもしれない…、いつか私は、今日が明日にならないかもしれないのに…それでも？」

「時間が止まるってこと？ソレいいね、幸せな時間が止まってくれるなら、ソレって最高なんじゃない？」

その草壁理論に、絵莉花さんがキョトン…と表情を変え、そして、どうしようかと困ったように微笑んだ


「…も、信じられない…」
そして、クスクス笑い出した、草壁さんも同じ顔して笑ってた


その光景は、本当に心が繋がるという事の奥深さをオレに伝えてきた…


もう、大丈夫だよな…


「草壁さん、絵莉花さん、そろそろオレ達帰ります、カタログ…お二人で決めてくださいね！」

「はい、ありがとうございます、決まったらお知らせします」
「ええ、後は長瀬棟梁から作庭の件を伺ってご連絡しますね、窓から見える景色が、いつもキレイな彩色に彩られているようにしますね」


無彩色な世界なんて、このお二人には似合わない…


リビングに戻ると、ただくんと長瀬棟梁がのんびりお茶飲みながら、オレ達を待っていた

「おかえり、宏光」「べっぴん、お疲れ！」

ティーカップ片手に、すました顔してオレに流し目してきた

「えええ、オレ仲間外れ？」

「いや、待っとこ思てんけど、長瀬棟梁がこのケーキめっちゃ美味そうやから先に食おうやって、唆されてなぁ」
「ああ？テメェ何言ってやがる！先に食っちまおうつったのお前だろが！」
「なに言うてんねん！よう言うわ！」


掛け合いみたいな二人の会話に、草壁さん達は目が点…そして弾けるような絵莉花さんの笑い声が響いた

「ケーキ気に入って下さって、ありがとうございます！ならお代わりのお茶持ってきますね、旺さん、手伝ってくれる？」
「いいよ、皆さんゆっくりしていって下さい、絵莉花の焼くパウンドケーキは絶品ですよ！」


肩を並べてキッチンに行く草壁夫妻は、ホンワリ幸せ色に包まれていた

Precious Lover … ２８２→←Precious Lover … ２８０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す