I wish to be your only one … L.O.V.E ６ th

Precious Lover … ２７３ ページ33

「…では、本日はお忙しい中ありがとうございました、次回の打ち合わせの時にはぜひ奥様もご一緒でお願いしたいと思います」

「了解しました、次回は施工会社の方も来られるんですね」
「はい、私とチーフの大倉、城島工務店の長瀬棟梁が伺うと思います、実際の現場を見せていただきますね」
「わかりました、日時はまたお知らせします、…絵莉花の体調もあると思うので」
「もちろんです、そちらのご都合に合わせますので、よろしくお願いします」

応接室を出てショップを通る

先程までショーケースを見ている人が多かったけど、今は一段落なのかお客さんは誰もいなかった

ジュエリーショップなんて入ったことも無くて、綺麗に磨かれたショーケースに思わず目を惹かれ、一角に足を止めた


「You＆Me…か…」
多分、商品のブランド名なんだろう…、

様々なデザインのペアリングが、桜色のリングケースに入って飾られていた


「ﾌﾌ、可愛いな…」
、どれもが《二人だけの特別》を表していて、微笑ましいそのデザインに、思わず口許が緩んだ

「どなたかプレゼントされたい方がおられるなら、ご用意しますよ」
と見送りに出てくれた草壁さんが、ニコニコしながら勧めてくれた

「アハ、残念ながら…、でもペアリングにも色んなデザインあるんですね、シンプルなのしか知らなくて…」

「そうですね、今はオリジナルの一点物をご用意することが多くなりました、ブランド名の
《You＆Me》は《君と僕、二人で一つ》をコンセプトに付けたんですよ」

「へぇ、そうなんですか」

「アメリカでジュエリーデザイナーをしていた時は、ペアリングには全く興味なくて、高い石を使ってデザインしたものを買って頂くことが、自分にとって何よりのステイタスだと思っていたんです、けどあるお客様と出会ってその考えが大きく変わりました、今でもその方と出会えたことにとても感謝しているんです」

「どんなお客さんだったんです？」

これほど才能のある人の方向性を変えるなんて、どんな出会いなんだろうと純粋に興味が湧いて、オレは尋ねてみた


「オーナーのお得意様の紹介で、若い男性だったんですが、大切な人に渡すリングを…と依頼を受けました、ペアリングはどちらかと言うと地味なカテゴリーなので、私はあまり乗り気はしなかったんです、まあご紹介の方だから仕方ない…正直そんな思いでした、なので、無難に相手の方の雰囲気と好みから伺ったんです…」

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