I wish to be your only one … L.O.V.E ６ th

Precious Lover … ２５８ ページ18

「うーん…、なんか違う…ハァ…」

城島工務店さんに草壁邸のリノベーション契約を了承して貰い、本格的に図面起こしに入った

長瀬棟梁にオレの描いたラフ画を見てもらいながら、この前訪ねた時に撮影した建屋の内装と外観を照らし合わせてもらった

最初はふざけてた長瀬棟梁だけど、やっぱり仕事の話になると表情…特に眼差しに厳しさが宿る

オレのラフ画との矛盾点を、手厳しく突いてきた、一番のネック…大掛かりになるのは《階段の移設》だった

「べっぴん、こりゃかなり難易度高ぇぞ、元々の設計図見せてもらったけど、２階部分も大幅改装しないと階段をリビングに移設すんのは難しい…依頼主はその辺どう考えてんだ？」

「私もその事はお伝えしています、工期が長引くことと予算の関係…でも草壁さんは、やはり階段をリビングに持ってくることを強く希望しています、一階は間仕切りは極力少く、空間を広く使いたいそうです」

「だよなぁ…、アトリエも兼ねるんだよな…うーん…、となると、ほぼ2階は使わないんだよな」
「ええ、クローゼットと細々した物の収納ですね、後は天窓を取って光を直接リビングに入れたいと思います」
「なるほど、そして夜は星空か…ロマンチックだな、なら北方向に窓を取れ、南向きの天窓は夏の暑さが酷い、北から入る日差しは柔らかい」
「分かりました」
「北極星はいつも同じ場所にある、天窓を見上げた時に同じ場所に同じ星が見える、何があっても変わらない物があるというのは、それだけで安心できるのかもな…」



「変わらない…か…、草壁さんのご主人の奥さんに対する気持ちは、きっとこの先も北極星みたいに揺るがないんだろうな…」

一つ一つ…草壁さんの想いを形にする為のデザイン画…、でも描いても描いても…どこかしっくり来ない…

全体像が、…浮かんでこない

「ヤバい、煮詰まりそ…」

あ、そうだ…、地下倉庫の過去作でも見てみるか、何かヒントがあるかも…

そのまま階段を下りて地下倉庫に行く、作り付けの棚のガラス戸を開け、気になったいくつかの立体模型をテーブルに出した、でも…

「うーん…ちょっと違うかなぁ…」
他にないか…とより昔の模型を置いてある扉を開けた、上から下に目を動かすと

「あ、コレ…」

吸い寄せられる様に一つの模型が目に付いた、家の大きさもさほど草壁邸と変わらない、何より天窓とフレームみたいな大きめの窓がある


「ふーん…《繋ぐ家》か、……設計デザイン《H・F》……って、誰だろ…」

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