I wish to be your only one … L.O.V.E ４th

Precious Lover … １７３ ページ29

「勝手に決めて悪かったんだけど、今日さ、アイツら来るよ、ひろの退院祝いしよって言ってて…、渉がウチに来て何やかや準備してくれてる、晩は久しぶりに美味いもん食べれるからな！」

帰り道…運転中、太輔が楽しそうにその事を教えてくれた

「渉…、横尾さん？…」
「うん、そう…、後はニカ千と宮玉、いつもの７人だよ、ひろ渉のメシ食うの久しぶりだろ、アイツ張り切ってんぞ！」

ワクワク…って風に太輔の表情が言ってる

太輔と横尾さんの親密さは、きっとオレの想像以上だ、入院してる間に2回ほど来てくれたけど、何となく…二人の間には入れない雰囲気がある

きっとオレも横尾さんとの想い出もたくさんあると思うけど、全てがゼロになってしまった今は、太輔みたいに気さくに話は出来なくて…
どうしても構えてしまうって言うか…、何を話しても覚えていないことでガッカリさせるんじゃないかと思うと、口数も少なくなってしまった

だからって横尾さんが苦手とかじゃないんだ、、優しいし、お見舞い来てくれるといつもオレのコト気遣ってくれる…

太輔が全幅の信頼を横尾さんに持ってるコトは、少し見てればわかる程だった


「横尾さんて料理上手いんだ」
「なんたってカフェ５店舗のオーナーだからな」
「そうなの？凄いな」

…って言うと、太輔の表情に少し変化が見えた
ホントに一瞬…寂しそうな顔…する…

何も覚えていないオレに、太輔はきっとガッカリしてるんだろうな…と申し訳なく思ってしまう


そして、オレは自分の左手に目を落とした



そこにある《アト》に、また…目が釘付けになる


薬指の付け根に残ってる日焼けのアト…ソレは幾らか薄くはなってるけど、明らかに何かをソコに付けていた形跡があった


この位置って…《結婚指輪》の…


太輔が、冴島さんが結婚してるのを指輪の位置で確認したと言ったのを何となく覚えてたオレ…

待合で太輔を待ってる時、隣に座ってたカップルが目に入った…カノジョさんの体を気遣ってるカレシさんの表情が、何となく太輔と被った…

左手の薬指には同じ指輪が嵌められてて、あー結婚してるんだって微笑ましく見てた時、ふと目に飛び込んできた左手のアト…



最初は単なる見間違いかと思ったけど、確かに薬指にはグルッと一周…日焼けのアトが付いていた




なんで…


まさかオレ、結婚してたのか？




誰と……？




もしそうなら、その人は今どこにいるんだ？





なんで、オレの傍にいてくれないんだ…

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