Precious Lover … １６０ ページ16
《お父さん》…て言う人は、太輔と同じくらいの背格好で、細いシルバーフレームの眼鏡をかけたとても…スマートで紳士的なひとだった
深緑色のハイネックのセーターに紺色のジャケット、チャコールグレーのパンツ…上品な雰囲気を漂わせた初老の男性に、オレはこの人がホントに父親なのか戸惑いを覚えた
その人は、ベッド脇の椅子に座ると、オレに優しい眼差しを向け「宏光、私が分かるかい？」と聞いてきた
穴が開くほどその人の顔を見ても、オレの中には残像が無い…、でも、ソレをそのまま伝えたらこの人を悲しませる、とオレは口を噤むしかなかった
その時、傍にいてくれた太輔が「ひろ、そのまま言えばいいよ、お父さんなんだから」と言ってくれた
太輔のその言葉を聞いて、何だか少し気持ちが軽くなって「すみません、…わかりません…」と答えた
お父さんは、ほんの一瞬表情を曇らせたけど、直ぐに微笑んで
「私は君の父親だよ、ﾌﾌ、初めまして…はやっぱり変だから言わないでおくよ、…宏光、手術良く頑張ったね…」と言って、包帯を巻いた頭にそっと手を置いてくれた
オレを見つめる目には、薄らと涙が浮かんでいて、形のいい鼻の頭が少し赤くなっていた
「元気になってくれて、本当に良かった…きっと美鈴…お母さんが守ってくれたんだね」
「…お母さん？」
「そうだよ、10年以上前に亡くなっているんだけどね…」
「…そう、なんですか…」
知らされても、今のオレには面影すら思い出せない人だった
「私とは君が小さい頃に離婚していて、美鈴が君を引き取ったんだよ…君にはとても申し訳無いコトをした…」
「お義父さん、その話はまた…」
太輔が遮るように声を掛けてきた
お父さんは、小さく頷くとオレの顔を見ながら「すまないね…」と言った
この謝罪の言葉に、どう返すのが正解なんだろう…迷った末
「いえ、…何も分からないので、教えて貰って良かったです…」と答えた
柔和な笑顔の中に一雫の寂しさを滲ませて、お父さんはオレの体を労わるように、そっと左手の二の腕に手を添えた
「今はしっかり休みなさい、太輔くんもついてる…何も心配することは無いから、体を厭うんだよ」
そう言って、お父さんは帰って行った
その後姿を見ながら、オレは想い出を無くすという事が、自分だけの悲しみで終わらないコトを知った
だけど…すぐ傍に、悲愴な決意を胸に秘め、オレと同じ悲しみと向き合ってる人がいることを、この時のオレは、知る由もなかった
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GAYASAKURA(プロフ) - daimommさん» 例え記憶は無くても、仕草や表情はまんまだと思うので、ソコを強調してます、お買い物でぇと始まります、私的に日常生活に萌えちゃうのが好きなので、無駄エピと知りつつ入れますー、ハピバ記念は今回は断念しました、楽しんで下さればいいな、コメ大感謝です！ (2018年9月17日 13時) (
レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - daimommさん» こんにちは！コメありがとうございます！はい、エイベさんのカウントダウンは見れなかったんですけど、夜中に目が覚めてソッコーでツベGOです！TL、凄いですねー《藤北プレゼント交換 》ですよね！発売楽しみです！ウチのみっくんは、まだ距離があるかなー笑 (2018年9月17日 13時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
daimomm(プロフ) - GAYASAKURAさん、こんにちは♪みっくんバースデーですね！素敵な１年を過ごしてもらいたいと思います。そしたら何と！こちらのヒロくんは！記憶がなくても、体が動きを覚えてるんですね、きっと。無意識の行動だと思うけど、何かすごく嬉しいです。 (2018年9月17日 12時) (レス) id: 4014bb6c4e (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» 楽しい連休をお過ごしくださいねー！コメ大感謝です！ (2018年9月16日 10時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» おはようございます！コメありがとうございます！はい、ただくん出て来ますよー、一騎打ちにはならないと思いますｗ、連休でどこまで行けるかなー、話数考えると移行は必至かも…グダグダ臭が致しますが、宜しければ続き覗いて見てくださればと思います！ (2018年9月16日 10時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：GAYASAKURA
| 作成日時：2018年8月17日 17時
