I wish to be your only one … L.O.V.E ４th

Precious Lover … １５７ ページ13

「…はぁ……」
「ワッター、さっきからため息ばっかじゃん、どしたの？」


太輔の見送りを受けて、ワッターの運転するワンボックスカーに乗ったオレ達は、家路を走っていた

2列仕様の後部座席には、前列にトシくんと後列にニカ千が座ってて、オレはワッターの話し相手で助手席にいた、走り出して３０分辺りから三人が船を漕ぎ出して今はフロントミラーにバッチリ寝顔が写ってる

わりと結構ムサい絵面です笑


ワッターは、ちゃんとハンドル握ってるけど、なんか心ここに在らずな感じで溜息の数がハンパない…

「ん、…何だかなぁ、太輔のヤツ…なんであんな選択肢取るかな…、親友とか…」

あー…それか…

「そうだね…、でも太輔の気持ちも分かるかな…ヒロの心に余計な負担掛けさせたくなかったんじゃない？、まずは友達から始めようって、なんかさ、恋が始まるパターンじゃん！」

「確かにな…全くの他人から入るならそれもいいと思うよ、けどあの二人はそうじゃない、何度も何度も別離の危機を乗り越えて家族のカタチを作ったんだ、それを変に蔑ろにするような始まり方が、オレ気になるんだ…」

そう言って、ワッターはまた溜息をついた。

「珍しいね、ワッターが太輔のすることにダメ出しするの、いつも見守るか応援するパターンなのに…」

「オレもそう思う…、でも今まではさ、キタミツの心が常に太輔に向いていたから…オレも安心してた部分があるんだ…でも今のキタミツは、今までの記憶を全部無くしてゼロの状態だ、言わば生まれたての赤ん坊みたいなもんだ…真っ白な気持ちに最初に色を付けるのが、太輔とは限らないんじゃないかって、なんか…そんなコト思っちまうんだよな…」

「どういう事？」

「最初に、お前の家族はオレだ、お前はちゃんとオレが愛してきた《藤ヶ谷宏光》なんだと言っていれば、キタミツは太輔だけの色に染まるだろう、心のスタートが太輔から始まれば、この先も二人で歩いていくことに疑問は持たないかもしれない、けど…もしキタミツのまっさらな心に最初に色を付けるのが太輔じゃなかったら…そう思うと怖いんだよな…オレ…、まあ取り越し苦労だと思うんだけど…」

そう言ってワッターは、苦笑いを浮かべて後部座席をチラ見した

「マジ考えすぎだって！ヒロが太輔以外に目を向けることなんかあるわけないよ！あの二人は、何度生まれ変わっても互いを探し求めてきた唯一無二なんだから！」

「そうだな…そうじゃなきゃ、アイツらじゃないよな…」

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