LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.３

CASTE … １３３ ページ39

｢世間知らずのお嬢さんだとばかり思っていたけど、なかなかやるね…桜来｣

不思議なことに、オレは桜来からのネタバレを聞いても自分の感情に漣一つ起こらなかった…

開き直り…ふてぶてしいと言われれば、それまでかな…

｢私の話に全く動揺してないトモくんも、ね、…今のは褒めてもらってると思っていいのかしら？、…北山さんとは最近は会ってないみたいね…｣

｢よく知ってるね…桜来は、オレをどうするつもり？｣

問いかけに、桜来は表情一つ変えず口を開いた

｢どうもしない…私は貴方の妻よ、トモくんがどこに向けても恥ずかしくない夫であり父親でいてくれればそれでいい、今以上の事は何も望まないわ、…他に質問は？｣

平然とそう言って退ける桜来を、オレはある意味感嘆の思いで眺めた

｢なら、もう一つ聞こう…お腹の子は、誰の子だ？｣
｢…すごい質問ね…なぜ？｣
｢オレは桜来のナカに残した事は一度も無い、オレとの妊娠は不自然だ、それは桜来が一番分かってるんじゃないの？｣

際どい質問にも、桜来は薄い笑みを浮かべオレを真正面から見つめてきた、目を逸らすこと無く…

｢…生まれてみればわかるんしゃない？でも、私と別れたら、貴方は医師としての夢を叶えることは出来ないわよ、私の夫でありこの子の父親であることが、最大の切り札…そうじゃない？｣

｢このまま何も無かったように、君といい家族を作れということ？…Give＆Takeね、…なるほど｣

｢なんでもいいわ、私は貴方が好き…優秀で秀麗な山下智久の妻でいられて何より幸せだから｣

｢それはまた、随分と安い幸せだな…｣

｢なんとでも…お父様に言いたければどうぞ？私は構わない…お父様は貴方の医師としての腕を信頼してる、離婚は絶対に認めない…トモくんならそんなこと理解してるわよね｣

｢キミは、そんな大人のエゴしかない世界にその子を存在させたいの？｣

｢そうよ、この子は…私と貴方の子供だもの、あの人には絶対に出来ない…これは、私があの人に勝てる唯一の方法だから｣

桜来の目には、怒りとも悲しみともつかないギリギリまで追い込まれた人間の悲愴感が宿っていた

ここまでさせたのは…オレなのか…

これ以上桜来の顔を見られなくて、オレは席を立ち秘書を呼んだ

｢バカげてるな…、もう帰りなさい、風が冷たくなる…秘書に車を用意させる｣



｢そうね、お父様に会ってから帰るわ…トモくん、今日は早く帰ってきてね、この子と一緒に待ってるから…｣

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