LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.３

CASTE … １２３ ページ29

アパートから少し離れた通りで、車は止まった

ドアを開け外に出たオレの背中に、トモの声が投げかけられる

｢藤ヶ谷太輔、お前に宏光は渡さない…だがオレも少し忙しくなってきた、せいぜい宏光に尽くしてやってくれ、今の宏光は目新しいペットを可愛がることで寂しさを紛らわしてるだけだからな…それは愛じゃない…よく覚えておけ｣

侮蔑的な物言いにカッと全身が熱くなるけど、そんな挑発に乗ってたまるかよ

｢ご主人を悲しませてるヤツから全力で守るのもペットの役割なんだよ、その喉に噛み付いてでもな…｣

｢ｸｽｯ…ソレは頼もしいね、せいぜい大切なご主人様に嫌われないよう言動に気を付けることだ、…じゃあな｣

遠くなるテールランプを睨みつけ、オレはアパートへの道を急いだ

宏光帰ってるかな、腕時計はけっこうな時間を示していた

エレベーターに乗り部屋に向う、カギを開け玄関を見ると黒の革靴が揃えて置いてあった

｢宏光ゴメン、遅くなっちゃった｣
中に入ると、キッチンでフライパン片手に何やら作ってる宏光がいた

｢お、おかえり、構わねぇよ！今日はオレが作ってやるから！｣
｢でも宏光、仕事で疲れてるのに…｣
｢ん？大丈夫だって、ソレに今日はちょっと良い事があってなー…｣

フンフンフフーン…て鼻歌交じり、嬉しそうな様子にホッとするけど、何があったのか気にはなる

｢なに？良い事ってどんなコト？｣
｢んー？ソレは言えないかなぁ、｣
｢仕事…上手く行きそうなの？｣
｢そだな…まあ先が見えてきたって感じ、かな｣
｢…そか、良かったね｣
｢おん、サンキュ…さて出来たぞーみっくん特製チャーハン♪横尾さんにさぁパラパラにすんの教えて貰ってさ…｣

ニコニコしながら皿に盛り付ける、いい香りが部屋に立ち上り空腹を思いっきり刺激してきた

｢んで、唐揚げー♥コレも横尾さんオススメの店で買ってきた！あとサラダ！よっしゃーコンプリートぉ！食おうぜ太輔！｣
｢うん、食べるっ！めっちゃ美味そう！｣
｢美味そう！では無く…｣

｢｢美味いんですっ｣｣

声が揃って二人で爆笑、楽しくて嬉しくて…幸せなひと時…ずっとこんな時間が続けばいい…心からそう思った…

子供みたいな笑い顔…
何もいらない…だからどうか…オレからこの人と過ごす時間を取り上げないでくれ…


｢美味しいもん食ってる時って、一番幸せ感じるよな｣
｢うん、…好きな人となら尚更だ｣

片付けしながら隣の宏光に伝えると、フワリとハニカミ笑顔が浮かんだ

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