LOVE CASTE … 恋哀階級 vol.３

CASTE … ９８ ページ3

｢だぁーもお、コレめっちゃうまーい！よおーさんの作るモン、ずぇーんぶさいっこぉぉ！｣

…って、さっきからハイペースで飲んでたけど、やっぱこうなるよな…

ヒロは渉の出してくれる料理全てにご満悦で、ついでに言うならカクテルも結構な種類いってる、渉もヒロの様子がオカシイのに気付いて、途中からはアルコール度数低めなのに切り替えてたけど、時間差で酔いが回ってきたのかヒロはかーなーりハイテンションだった

｢おいキタミツ、おま今日ペース早すぎ！も、ソールドアウト！、しゅーりょー！｣
｢えーやァだよ、まだ飲んでないカクテルあるしぃ明日休みだしぃへーきへーき！わきゃきゃ♪｣

って、はしゃぎっぷりがスゴくて…流石にオレもコレはヤバいかなって気がしてきた

日曜の夜ってコトで来客は少なくて、来ても大体小一時間で帰ってしまう、長居をしてるのはオレとヒロだけだった

｢ヒロ、もう店じまいだってさ、みんないなくなっちゃったよ…ウチに帰ろ｣

って、持ってたグラスをやんわり取り上げようとした時…ヒロがオレの手を振り払った

｢ヒロ…？｣
｢……どうせ…お前だって…いつかいなくなるんだろ…｣
｢え…？｣
｢ずっと傍にいるなんて…そんなのムリだし…気持ちなんて、変わって当然……｣

さ迷うヒロの視線の先にいるのが誰なのか…痛いほど思い知らされる…
けどオレは何も言ってあげられない…今のヒロに何を言っても詭弁にしかならないんだ、一方的にオレの想いを押し付けるだけに過ぎないから


｢ハナから期待しなきゃいいんだよな…だったら失望もしないし裏切られるコトも無い…そんな簡単なコト、分かってんのに…ッ…｣

そのままカウンターに突っ伏して、肩を小刻みに震わせるヒロ…渉はそんなヒロを黙って見守っていた

やがて肩の震えが止まり、そのまま微かな寝息が聞こえてきた…

｢寝ちまったか…｣
｢うん…｣

オレは着ていたジャケットをヒロ肩に着せかけた…なんでもいいから、オレの出来ることでこの人を包んであげたかった…

｢太輔…｣
｢ん？｣
｢お前、キタミツが抱えてる事情…知ってんのか？｣

マグカップにコーヒーを入れるとオレに渡してくれた、口元に持っていくと焙煎したてのいい香りが嗅覚を優しく刺激してくる

｢…トモって人のコトだろ？知ってるよ…会ったコトある…さっきも偶然…奥さんと一緒だった…おまけに奥さん妊娠してる…なのにあの人は、ヒロを離さない…｣

｢そうだな…｣



｢オレじゃダメなのかな…｣

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