あんちゃんが泣いた夜

オレらのあんちゃん …１７ ページ18

久々の纏まった休み！

朝から家電量販店に行って、前から欲しかった掃除機を買った、吸引力高めで尚且つオサレ感のある掃除機ｗｗ

満足度１００％でウチに連れて帰って、ウキウキしながら部屋中ガーガーしていた

週末からはまたライブ！

今回一番の大会場、そして色々思い出のある横アリ、体調万全で臨まないとベストパフォーマンス出来ないから基本ウチで大人しくしていた

溜まった洗濯やら片付けたり、見たかったDVD鑑賞したり…まったり時間は過ぎていく…

早めにメシ食って、風呂入って寝る準備してたらケータイの着信が来た

｢ニカだ…なんだ珍し…｣

あんまニカがオレにＴＥＬしてくることなんかなくて、ちょいビックリなオレ
遊びの誘い？…やーでもアイツ基本オレが誘っても来ないパターンだよな


｢はいもっしー、ニカ？｣
｢うおぉガヤ！出てくれた！ラッキー｣

常時テンソン高めなニカに、ちょい笑みが浮かぶ

｢何？なんかあった？ご飯の誘いか？｣
｢あーソレな！行こう、うん絶対今度行こうな！｣
｢ウソつけｗｗおま行く気ぜんっぜんねぇだろ｣
｢そんなコト無いって！、…ていうか今そう言う話じゃなくて…あのさガヤ、ミツ…ちょっと変なんだ…｣


｢北山？｣

唐突にニカの口から出た北山の名前に、オレの中の何かがピクリと反応した

｢さっきＴＥＬあったんだけど…沈んでるっていうか…声、めっちゃ寂しそうでさ…ミツのあんな声滅多に無いから、なんかオレ心配でさ…｣
｢…そうなのか？｣
｢ん…｣

何となく…思い当たるとこもあって、オレは続く言葉を発するコトが出来なかった

辛いんだろう…アイツ…
役にハマればハマるほど、抉られていく奥深い意識の底…見たくない自分を直視しなきゃいけない時が必ず来るコトを、オレも少なからず経験していた

｢ガヤ…｣
｢ん？｣
｢ミツにＴＥＬしてあげてよ｣
｢え？｣
｢ガヤがＴＥＬしたらミツ絶対いつものミツに戻るから、だからさミツにＴＥＬしてよ？｣

ＴＥＬの向こうのニカの様子が手に取るようにわかるその声音…ホントに北山のコトが心配で堪んないんだろう…

でも…

｢ソレは出来ないな…｣
｢なんでっ？ミツのコト心配じゃねぇのかよっ！｣
｢…今アイツは《北山宏光》じゃない、《凌》だろ？｣
｢《凌》？｣

｢多分自分が生きてきた時間と《凌》として生きてる時間がアイツの中でシンクロしてるんだ、…父親との関係とかな…見ないようにしてた現実を今《凌》として向き合ってるんだろ｣

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