LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … ４５ ページ47

｢え、ソレ北山さんに言われたくないです｣
｢あ？るっせ！オレだって気にしてんだから言うなっ！｣
｢気にしてるんですか？｣
｢…う、初対面…大体ナメられる…｣

腹の立つ場面は数々あれど、年下に年下と思われんの、マグナム級にムカつく！
玉もそうだったもんな…

｢へー｣
｢流石に今は無くなったけど、新規営業の会社とか行くだろ、後輩連れてくともれなくオレの方が後輩に見えるみたいで相手の人後輩に先に名刺渡すし、も、何なの？って｣
｢あっはっは、ソレ傷付きますね｣
｢ま、それネタにして話しやすくなったりするからいんだけど…まあ凹むわな｣

ふぅ…てため息つくと、太輔はｸｽ…と忍び笑いを漏らし、オレの顔を見つめた

コイツ…人の顔見つめるのクセなのか？

｢北山さん、可愛いからな…｣

他のヤツに言われたなら、ぜってぇバカにされてる！って思ったかもしれない、けどコイツの声のトーンには、そんな響きはどこにも無くて…それがオレを戸惑わせた

そんなのマトモに受けるとか、バカだろ…

｢ハイ黙れー！お前も年下のクセに生意気っ｣
｢だってホントだし｣

ふと真面目な顔になり、そっとオレに手を伸ばしてきた、瞬間身構えると額に手の平が触れてくる

｢うん、ホントに熱下がりましたね、もう大丈夫かな？…じゃオレ帰ります｣

床に置いてたリュックを取り上げ、立ち上がった

腕時計に目をやると

｢今からだと割引料金だ、ラッキー！、お邪魔しました！｣って言って玄関に行った

出ていってしまう…


太輔とは会ったばかりなのに、オレは言うに言われぬ寂しさを感じてしまっていた

｢太輔！｣
気付いたら呼び止めてた

｢あ、はい？｣
｢お前…生活費とかどうしてんの？｣
｢…そうですね…今は貯金切り崩してます、後は日々の節約とか、ですね｣

特に隠すこともなく、ホントに何でもないコトのように言ってくる

｢…家に帰らないのか？｣

そう聞くと、太輔は初めてその表情を曇らせた

｢オレの家…ちょっと家族関係フクザツで…オレがいると上手くいかなくなるんです、だから戻んない方がいいんですよ、…ソレに、もう色んなコト気にしなくていいから、オレも今の方がラクなんですよね…｣


多くは言わないけど、自分ではどうしようも無い事情を抱えて、今の暮らしを選んでいるのはわかる

何となく…今の自分と似てる気がした

｢あのさ…、なんか有ったらまた来いよ｣
｢え？｣


｢何か困ったら言ってこい…仕事とか、相談乗るから…｣

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