チャラくNIGHT?…80 ページ32
「では太輔様、本日から実家に戻らせて頂きます」
季節は移り、梅雨から夏になった
見慣れた作務衣から普通の高校生のラフな服装に着替えた心海が、夏休みに入り四国の実家に戻る挨拶をしに来た
「はい、気を付けて帰りなさい、ご両親様によろしくお伝えして下さい」
「はい、お土産までご用意頂いてありがとうございます、八月末には戻りますので」
「構いませんよ、久しぶりの実家です、ご両親に甘えてくるといい」
そう言うと、心海はちょっと恥ずかしそうな笑顔を浮かべた
「甘えるとか…、太輔様、私はもう17歳です、親に甘える年ではありません」
口を尖らせて反論してくるけど、そんな様子がまだ幼さを感じさせる
「そうでしたね、甘える…というのは少し違うかもしれません…ご家族と出来るだけ多くの会話をしなさい、なんでもいいのです、些細なことでも話し合える家族がいるというのは幸せなことです」
例えそれが《美味しいね》でも《いい天気だ》でも構わない…
その瞬間を共有できる人がいるという幸せ…
それ以上の幸せなど、無いような気がする
「太輔様…?」
「…あ、失礼したね、では新幹線に遅れないように出発しなさい、住職は生憎総本山での集まりに泊まりで行かれている、私から伝えておく」
「はい、ありがとうございます、宜しくお願いします!」
「想い出をたくさん作っておいで、楽しい土産話を待っていますよ」
「分かりました!では太輔様、行ってまいります!」
「行っておいで」
大門まで見送ると、心海は坊主頭に今どきのキャップを被り意気揚々と寺を出ていった
明慶さんは住職のお供、心海は帰省…寺には慈文さんと宗純さんが残っていた
住職の戻りは明後日か…
寺も静かだな…と境内を見渡す
青々と葉を繁らせた欅の大木
宏光とココで月を見たのが最後だった
どうしてるんだろう…あの人は…
宏哉さんの役に立ちたいと言っていたけど、願いは叶ったのだろうか…
そっと幹に手を添え、あの日を思い返した
別れの言葉一つ交わせないまま離れてしまった日から、何度…この同じ場所に来ただろう…
そしてあの日から、誰にも内緒で宏光の母上の墓前に花を手向けていた
「もしあの人が己の意に沿わない毎日を過ごしているなら、どうか母の愛で守ってあげてください、お願いします…」
宏光…
あなたは今
幸せなのですか…────?
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GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» お話は進んでおりますが、ハラハラ展開が少なくなってきたかもです、、宜しければ続き覗いて見て下さいませ!コメ大感謝です! (2017年6月12日 11時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!コメ返遅くなりましてゴメンなさい、ネタバレ注意と言うよりは、興奮しまくってあんま覚えてないのがホントの理由ですwwツアーDVD待ち遠しいですね!秋冬かなぁ、個人的には冬ドームとかしないのかなって思ってます、《スノド》の時みたいに! (2017年6月12日 11時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - こんばんは。広島参戦したんですね。ネタバレ注意って事で参戦出来ない私はツアーのDVD待ちになるのかな?お話の続きも楽しみにしてます。(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: e94527389c (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - 藤北かじゅさん» こんばんは!コメありがとうございます!はい、多分大丈夫じゃないと思いますwwやー、どうしましょうね…でも行かずにいられないのが《渋みつ》なのです!ココは運命を信じます!宜しければ続き覗いて下さればと思います!コメ大感謝です! (2017年6月4日 22時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
藤北かじゅ(プロフ) - お久しぶりです。あの渋みつちゃん、事務所行って大丈夫?すっごく気になって思わずコメントしちゃいました。更新楽しみにしています。 (2017年6月4日 21時) (レス) id: bcd1835547 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年5月4日 12時