One Kiss！！…２

チャラくNIGHT？…５２ ページ4

よく分かんないモヤモヤを抱えつつ、消灯前に薫乃に外出許可が降りたことを知らせた

｢わ、嬉しい！楽しみにしてるね！｣
｢おう、薫乃どっか行きたいトコあるか？｣
｢じゃ遊園地がいい！｣
｢ブッ、子供かッ！遊園地な、おけおけ｣
｢ありがと、みっくん！｣
｢いいよ、オレも久しぶりに外の空気吸いてぇしな｣

単調な時系列の毎日…心海もいるし、それなりに楽しく過ごしてるけどやっぱ外の世界が恋しいと思うのもホントで…

｢ホントに…ありがとう…｣
薫乃のその声に、オレは違和感を感じた

｢薫乃？なんかおま、変くね？｣
｢え、そんなコト無いよ！じゃ明後日、遊園地で待ってるね｣
｢お、おお…｣
快活な声を残し、薫乃のTELは切れた

遊園地…前に行ったのっていつだっけな…もしや小等部の遠足以来か？

親父は仕事人間…
兄貴とは年が離れてて、可愛がってもらってはいたけど、流石に遊びに連れていってもらったことは無かった

この年で遊園地セカンドデビューとかｗｗ

でも、ちょっとだけ…けっこう楽しみにしてる自分がいた


｢明後日、晴れるといいなぁ…さて、明日も早いしもう寝よっと！｣





｢…夜風が涼しいですねぇ、ヒロ…｣

境内に出ると、フワリと涼風が頬を撫でていく

宏光、今日は出てないんだ…
残念なような、ホッとしたような…混ざり合う気持ちが湧く…

唯一誰の目も気にせず二人で話が出来る時間は、一日の中で大切にしてるひと時だった

｢明後日…出かけるんだって、あの人と…｣

眠そうに欠伸をする《ヒロ》に話しかけると、キョトンとした表情で見上げてきた

｢いずれ、出ていく人だもんな…｣
｢ミャ…｣

ずっと一緒なんかムリだから…

掴まれた手が、今もその感覚を残していた
触れた手に、動揺した自分がいた

何でもない表情を作れていただろうか…
ちゃんと、僧侶として冷静に伝えられたのか…

そして頭の中で、宏光とのやり取りをリプレイする

そうだ大丈夫だ、間違ってない
自分はちゃんとあの場に相応しい言葉を紡いでいた筈だ

例えソレが想いとは真逆であっても…

ハァ…と知らずため息が出てしまう


｢…ミャオ…｣
｢…ﾌﾌ、慰めてくれてるの？｣

月明かりの下で見る《ヒロ》の瞳は、一点の濁りも無くキレイで、その人を思い出させた

親とはぐれたのか境内で震えていた子猫を連れて帰ったのも、あの日から忘れられないこの瞳を見たから…あまつさえ名前まで同じにしてしまった



｢月、綺麗ですね…ヒロ…｣

チャラくNIGHT？…５３→←チャラくNIGHT？…５１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す