One Kiss！！

チャラくNIGHT？…４５ ページ46

｢…わ…ッ｣

オレですらその違いが分かるほどの極上の黒の衣、そして純白の袈裟

その凛とした立ち姿と、キレイな横顔のラインに目が留まってしまう、そしてオレのガン見視線に気付いたのか藤ヶ谷太輔がオレに顔を向けた

見慣れてるはずなのに、今日は背後に何人もの坊主を置いているからか、いつもより何倍も大人っぽい雰囲気を醸し出していた、そして、オレに気付くと、なぜか困ったようなハニかんだ笑顔を見せてくる

アイツってば笑った顔は幼くなるよな…
ふと垣間見せる年下っぽさが、藤ヶ谷太輔を身近に感じさせてくる

《頑張れよ！》の意味を込めて、サムズアップして見せると少しだけ頷いた様に見えた

そして一点を見つめ歩き出す藤ヶ谷太輔は、後方に揃いの衣を纏った坊主を何人も従え、知らずため息が出るほどおっそろしくカッコ良かった

マジ存在感パねぇっす！

その後は滞りなく進んだみたいで、会食は予定通りの時間で…と台所に連絡が来た

オレができるコトなんてそう多くないし、仕切り役の坊さんの指示を一通りこなすと後は任せる以外なくて…ちょっと息抜きに外に出た

本堂に続く玄関には、参列者の靴がところ狭しと並んでいた、寺では若干の乱れすら許されない毎日だから、整理整頓は耳タコだ

仕方ねぇな…と、雑に並んでる靴を整え始めた時、本堂での法要が終わったらしく人の声が届き始めた

男も女もフォーマルスーツ…会食用の部屋に行くんだよな…と何の気なしに人の流れを見ていると
一組の母娘連れがオレを見て驚いたような表情を浮かべた

ん…このオバチャン誰だ？と記憶の引き出しを開けようとしたけど、頑丈なカギでも掛かってるのかてくらい思い出さない

｢あの、アナタもしかして北山家の御次男では無いですか？｣
｢え？｣

と話しかけられた、誰だ誰だ？

二人を見返すと連れの娘の方が先に気付いたみたいで

｢みっくんでしょう？｣と親しげな笑顔でオレを見た、ていうか《みっくん》呼びはオレが小等部の頃の呼び名だしっ！

｢覚えてない？私のこと？｣

いや全く分かりませんけど…


｢私、薫乃(ゆきの)だよ！みっくん！｣

ユキノ……って、まさか…あの薫乃？



｢え、薫乃？おま、薫乃か？｣

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