One Kiss！！

チャラくNIGHT？…１９ ページ20

｢ども、北山宏光…です、お世話に、なります…です…｣

って挨拶ってこれでいいんだっけ…
チラッて藤ヶ谷太輔見ると、ちょっとだけ頷いてくれた、なんかホッ…

｢大きくなられましたなぁ、お母上のご法要の時はまだ学生服をきておられましたが｣
｢…でしたっけ？｣

ロン毛金パになってからは、親父に親戚関係が来るイベは出禁食らってて母さんの…来てねぇよな、兄貴が墓参りだけ連れてきてくれて…オレ親不孝してんな…

兄貴…今どこにいるんだろ…

｢…宏光さん？｣
｢ぬわっ、な、なんでございますか？｣

住職じーさんは、ドギマギってるオレを眺めながら、ちょっと姿勢を正した、オレもつられてソレに倣う

｢お父上から本日より凛堂寺の見習い僧侶として扱ってほしいと承っております、細かいコトは次期住職の太輔がお伝えいたしますので、よく覚えて頂き、諸事全般お励み下さいますよう、例え北山のご子息であっても特別扱いは致しませぬ、どうかその心づもりで…｣

｢は、はあ…頑張ります｣
｢宜しい、ではまずはそのちぎれたズボンと苔むした色の上着を着替えていただきましょう、…あと、そのタテガミのような髪ですが、今日の所は手拭い巻いて隠して頂きましょう、太輔、部屋にお連れしなさい｣
｢はい住職…行きましょう、北山さん｣

｢ちぎれた…って、クラッシュデニムなんだけど…苔むした色って意味わかんね…｣

ブツブツ言ってるオレを、藤ヶ谷太輔が小さく笑いながら廊下に促してきた、付いてくオレ…もう後戻り出来ねぇんだよな

｢ホントは見習い僧侶は全員一部屋ですが、アナタにはムリだと思うので、一部屋ご用意致しました｣
｢特別扱いはしないんじゃなかったのかよ｣
｢そうでしたね、でもそれ以外は全て同じです、お辛いコトもあると思いますが、新しいご自分を見つける為と思って我慢してくださいね｣

｢わーってるって！｣
｢では早速…着替えを済まされたら本堂のお掃除です！入ってきた大門の真正面の本堂でお待ちしています、10分後…時間厳守です｣

｢わかった！…あのさ、藤ヶ谷太輔…｣
｢なんでしょう｣

｢…ありがとな…｣
｢お礼を言うのは早すぎると思いますよ、私は容赦はしません！では…｣

本堂に行くのか…堂々と歩いていく藤ヶ谷太輔の背中は、なんかすげぇ広く見えた



｢…わっ、時間ねぇじゃん！急げっ！｣

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