One Kiss！！

チャラくNIGHT？…２４ ページ25

何もかも悟りきったような静かな表情で、藤ヶ谷太輔はオレの目を見ながらそう言った

そして、その穏やかな声音がオレの中のしまい込んでいた感情を揺さぶり、抱えて来たキズを剥き出しにさせた

それは怒りが交錯する劣等感…
ガキの頃から何度も何度も感じてきたこの感情は、いつもオレを堪らない気持ちにさせた


そうだよ、オマエのいうことは正しい…だけど…


｢ッ、親父みたいなコト言うなッ！｣

怒りに任せ怒鳴りつけたオレを、藤ヶ谷太輔は表情一つ変えずマトモに見てきた

｢北山ッ！太輔様に向かってその口の利き方はなんだッ！許さんぞッ！｣

藤ヶ谷太輔の隣にいた宗純がイキって立ち上がった、は、上等じゃねぇか！

｢るっせぇ！ソイツが何様だろうがオレには関係ねぇよッッ！元々オレは来たくてココに来たワケじゃねぇっ！こんなクソまずいメシなんか食わされて、いい迷惑だっ！｣

｢なにィッ！！？｣

目を剥いて今にも掴みかかってきそうな宗純、こんな坊主に負けてたまるかよッ！と怒りを煽るように睨みつけた時

｢宗純さん、止めなさい｣

そう言うと、藤ヶ谷太輔は少し微笑みながらオレを見つめた

｢関係ない、めんどくさい、どうでもいい…あなたはそうやっていつも前に進むことを諦めるんですね、そして大切な人に壁を作って自分から一人になるように仕向けていく…そのクセ心の奥では、愛されるコトを誰よりも望んでいる、…宏光さん、あなたがしてる事は小さな子供が大人に構って欲しくて駄々をこねているのと同じです、いつまでもそんなコトでは、後継者どころか本当に大切なコトさえ、見つからない人生になってしまいますよ｣


清々しい程の表情を何一つ崩すことなく、藤ヶ谷太輔はオレに淡々と伝えてくる

愛されたくて…構って欲しくて…

グサリと突き刺さる、ずっと見ないようにしてきた感情をモノの見事に言い当てられ、オレはぐうの音も出なかった

そして歪なプライドが、オレを煽りに煽る
こみ上げる怒りはとどまる術を放棄した

｢…んだよ、黙れよっ！大切なヤツも大切なモノもなんもねぇよッ！オレは別にそんなモン欲しいとも思わねぇっ！ムカつく…ッ、イチイチ説教すんなっ！クソ坊主ッ！｣

｢…言いたいことは、それで全てですか？｣
｢なっ…｣

あくまで冷静さを失わないこの男に関わることで、オレはまるで自分自身が丸裸にされるような羞恥を覚えた


｢出てく、こんなトコ、もう一秒だって居たくねぇ…オマエなんか、大っ嫌いだ…｣

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