キミの《ぱにたん》

２０ぱにたん ページ23

｢薮、オレ公園に走りに行ってくるけどオマエどうする？｣

本格的なアメリカンブレックファーストに舌鼓を打ち終え、オレ達は部屋に帰ってきた

｢散歩ぉ？けっこう外さみぃぞ、風邪引くとヤバいからオレはパス！ホテル警備員しとくわ｣

そう言って、薮は部屋のソファを陣取り持ってきた雑誌を読み始めた

｢おま、太んぞ！ポニョジャニーズとか有り得ねぇ！｣
｢大丈夫！お前より背が高いからｗｗ｣
｢めり込んでるだけです！｣

いつもの返しをしながら、オレはジャージとスニーカーに着替えてセントラルパークに行った

正月太りは厳禁！

それに、セントラルパークを走れるなんてなんかニューヨーカーみたいで気分いいし！


セントラルパークは、ホテルからそんなに離れてない

昨日に引き続き天気は快晴、なんだか日本の空の青さとは違う気がするのは気のせいか？


逆方向から来る人のラフなスタイルに、公園が近いことが分かる

犬の散歩、家族連れ、恋人同士……

どの人も笑顔だ…


冷たい冬の空気が清々しい…防寒用に被ってきた黒のニット帽を少しだけ深めに下ろして、オレはジョギングロードを走り出した


｢morning！｣

気さくに声を掛けてくれる地元の人…なのかな


オレもこの際だ、とその人達に返事を返す！
もちろんEnglishだよ！


繋いだスマホから流れるノリのいい曲を聞きながら軽快に？走るｗｗｗ

ホントに広い…

芝生で遊んでる子供たち、ドッグランスペース…日本とはケタ違いの広さに、思わず笑みが零れる

｢少し休憩すっか…｣


芝生に座って、空を見上げる…


かなり走ったおかげで寒さは全く感じない…吐く息の白さまでも心地よく感じるのは、NYマジックってヤツなのかな？


ポケットのスマホを操作して、オレはもう
数え切れないほど聞いたその曲をタップした


明日帰国だな…

お土産、喜んでくれるといいな…


７人お揃いのペリドットのアクセが、オレ達の心を繋いでくれたなら…と願いを込めた


スマホのLINE…


舞台の興奮が冷めなくて起きてると、殿からあけおめLINEの返信が来ていた

｢《藤北》と《滝翼》、どっちがホンモノのシンメかいつか対決しようなｗｗｗ｣

対決って…その言葉に苦笑いが浮かぶ



藤ヶ谷…今NYにいるんだよな…



一緒に本場の舞台を見たなら、アイツはなんて言うんだろう…

ｸｽ…と自嘲気味の笑いが漏れる




絡まない視線と続かない会話を思い返し、すぐさま、その想いをかき消すオレ…

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