雪華 … Snow Crystal ３

１００話 ページ7

｢…キッカケ…？｣

｢…ミツとケンカしたって言ってたみたいだ、同僚の看護師さんが親父に話したって…無断外泊？…余り付き合って欲しくない人と仲良くなってるから心配だって…藤ヶ谷…ミツ、お前の家に泊まったんじゃないの？｣


付き合って欲しくない人…

どう考えても、ソレはオレのコトを指していた


｢…返事しないのが、答えだよな…｣

玉森は、一瞬目を伏せ少し口角を緩めると、小さく息を吐き、オレに目を向けた


｢藤ヶ谷、お前がミツを好きなのはどうしようもないコトだし、今更ソレをどうこう言うつもりはオレには無いよ…だけど、結果として今回みたいにミツが辛い思いするなら、黙って見てるワケにいかない｣

｢……｣

｢オレもお前と同じ…ミツが好きだ、ずっとずっとミツのコトだけ見てた…ソレは今も変わらない、…いつか気持ちが通じ合えたら…て思ってたけど、タイミング逃してグズグズしてるうちに、お前に取られちまった｣

自嘲気味の笑顔が、玉森の顔に浮かぶ…


想いを伝えなかったことを心から後悔してるのが、オレですら分かった


｢玉森…｣


｢今は…ミツがお前といて幸せならそれでいいと思ってる…ずっと笑顔見せてくれるなら、それが一番いいから……けど、もしそうじゃないなら…ミツにとってお前といることがマイナスにしかならないなら、もうオレは遠慮しない…、ミツの気持ち、絶対オレに向けてみせる…そう思っておいて｣


嘘偽りのない玉森の気持ちは、オレの中に一つの罪悪感を作った

本当に…宏光をずっと傍で見てきたんだと思い知らされた…大切に、慈しむ様に宏光を想い、届かない切なさを心に秘めてきたんだと感じた…


宏光の母親にとって、多分オレは招かれざるヤツなんだろう…


狼狽えるような、戸惑う様子があの日のＴＥＬからも伝わってきていた



今のオレが出来ること…






大切な人を悲しませない為に、今のオレが出来るコトって…

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