愛し君へ … ２

White Love … ９３ ページ45

｢…和真、オマエ…ドコいく気だよ？｣

海辺でのプロポーズに舞い上がっていたオレは、帰りの車が家とは反対方向に向かっていることに、しばらく気付かなかった…

この道…まさか───？


運転してる和真は、オレの問いかけに何も答えない、ただ前を見てる…その表情は、罪悪感を滲ませ、少しだけ辛そうに見えた

｢…おい、止めろっ！和真ッ！イヤだ、どうしてっ！？｣
｢亮介、オレのいうこと聞いて！｣
｢イヤだッ！会いたくないって言ったじゃねぇかッ！何でこんな…ッ！｣
｢亮介ッ！｣

いつに無い和真の強い声、オレは頭を抱え、和真に背中を向けた…

どうしてこんなことするんだよ…っ
なんで、分かってくれない……っ！

オレの中には、ただその思いしかなかった…

気付くと、車はハザードを付け道路脇に停められていた…

｢亮介…こっち向いて、オレの方見て？｣

シートベルトを外す音がして、和真が背中からオレの肩を包むように腕を回してきた

促すようにカラダを反転させられて、和真の方に向かされる…

｢騙すようなコトしてゴメンな…でも、ご両親には会った方がいい｣
｢カズ……｣

和真は、泣いてるオレの涙を親指で拭うと、そのまま頬に手を添えてきた

そして、気持ちを落ちつかせるように、オレの大好きな笑顔を見せてくれた

｢子どもを傷つけて、後悔していない親なんかいない…まして亮介をこんなに優しい人に育ててくれた人達だ、きっとオマエに言ってしまったコト…悔やんでると思うよ……会いに行こう……そしてオレ達のコト、ちゃんと見てもらおうよ、な？｣

｢かず、ま…｣

｢オレがいる…どんな時も、隣にオレがいる……オレはオマエのご両親に伝えたいよ、亮介を産んでくれてありがとうございます…て…亮介がいるから、今オレは幸せですって…｣

｢かずま…っ、和真っっ！｣

抱きとめてくれる胸はいつも暖かく…オレの不安な想いを全て受けとめて、キレイな心で安らぎに変えてくれる…

会わせたい…と思った、オレを見つけて愛してくれたこの人を……オレが、誰よりも愛してるこの人を……オレをこの世に存在させてくれた人達に、知ってほしいと強く思った…


｢一緒に会いに行こう…亮介…｣
｢うん……もう逃げない…和真といるなら…｣

左手の薬指のリング…和真はその手をキュッと握ると、目が合うと優しく笑い、少し頷いた


｢ずっと一緒だ…｣


車は道路に戻り、オレと和真は過去と今を結ぶ為に、その場所に向かった

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