オレだけの Candy Baby

ほろ苦candy … ３９ ページ40

「じゃ太輔、みっちゃんのお守り頼むな！オラ、オマエらはさっさと支度するっ！」
「はーい！ガヤ、キタミツ、じゃねー」

そう言って、３人は振り向きもせずヒラヒラオレたちに手を振って、さっさと楽屋に戻って行った…

廊下に残されたオレと北山…３人を見送る視線から同時に相手への視線が絡んで、見つめ合うカッコになってしまう…

でもオレは、もう目を逸らさなかった…北山は、なんか気まずそうに視線を下に落としてる…

「…オレとメシ行くの…イヤか？」
「…そんなコトねーよ…でも、オマエ…怒ってンじゃなかったの…その…オレがキャンセルとか…」

口ごもる北山……

「ん…少しな、わたと楽屋で、オレとメシ行くの、マジ無理とか言ってたの…聞いちまったから…」

ハッとした様に、北山が顔を上げてオレを見てきた…

「藤ヶ谷…」
「怒ってるって言うより…ショックだった…そんな嫌われてんのか…って…」
「あれは…っ！……そうじゃねーよ…キライとか……違う…」
「うん、…ならいい…今日はさ、一緒に行こ…」

もう多くを聞くつもりなかった…オレが熱出したとき、あんだけ心配してくれてた…ホントにオレのコトがキライなら、あんな顔…できないはずだから…


「…藤ヶ谷何食いてーの？」

ちょっと笑って、北山が聞いてきた

「え、んーと…和食、刺身とか寿司とか」
「あー、オマエ塩で食うとかってヤツな、いいぜ、仲良しのプロデューサーさんに連れてってもらったトコ、オススメ！そこ行こうぜ！」

「うん！！」

さっきまで見ていただけの背中…今はすぐ隣に並んでる…

いつも付けてる北山の香水が、フワッとオレの鼻を擽った…



楽屋に戻ると、もうオレと北山の荷物しか無くて、バッグに入れっぱのケータイを手に取ると、LINEの着歴…わたか…



《告白記念日、おめ！》



盛大に送られた♥のスタンプが、オレの失笑を買ったのは言うまでもない…

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