Memento ー ４

想い人 … １７６ ページ34

う、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…
結永が結永が結永が…そんなバカな！！？

妄想が独り歩きして、オレはバクバクを抑えようと胸を押さえて階段を降りた、そして踊り場でハタと気付く

一体、オレは何を動揺してるんだ？
結永が裸だったからか？

そうだ！結永の裸なんぞ赤ん坊の頃から見慣れてる、なんならお尻にあるホクロだって知っている！ゆるゆるウンチに果敢に立ち向かったのは、オレだっつーの！

なんて…どーでもいいことに意識を向かわせながら、ニカの言葉を思い返していた


《求め合うのは、自然なコトだよ？》

求め合う…って、そんなの…まだお互い何も責任が取れない年齢の子達なのに…

そう言えば奏くん、何処にいたっけ？
裸に狼狽えて、そのまま降りてきちまった


ハア…と心の中の重い空気を絞り出そうと、大きく息を吐いた

ドアを開けると、太輔がオレの背後に目を遣る

「アレ、結永は？」
「ん？…あー…もう降りてくる、と思う」
「そう…」「おん…」

次第に視線が下がるのが、自分でも分かる、

「どうしたの？なんか変じゃない？」
手を止めた太輔が、怪訝な顔してオレを見る

「あ、あのさ太輔…結永が…」
「うん？結永がどしたの？」
「は、はだ…」
「え？はだ？」

どう言えばいいんだ…

「ねぇ、飲み物これくらいにあればいいかな？」

キッチンから何本が抱えて来たニカが、聞いてくる、オレの様子で何かを悟ったみたいで、アヒル口の口角を上げた

「ミツどしたの？、あ、もしや何かヤバいもの見ちゃったとか？」
「ち、違ぇよっ！！バカ！！」

ついつい言葉尻がキツくなってしまい、オレの返しに太輔の方が目を丸くした

「え、なにがどうしたの？」
「…あーもういい…、なんか良く分かんなくなってきた…」

「ミツ、ゴメン、オレが変なコト言ったから気にしちゃったんだよね」
テーブルに飲み物置きながらニカが謝ってくる

その時ドアが開いて、結永と奏くんが入ってきた、良かった服着てるし…って当たり前か、

けど…なぜだか二人の間の距離が、少し遠い気がした


「わ、手巻き寿司！美味しそう！」
「結永、ソコは美味そうではなく」
「「美味いんです！！」」

って、太輔と結永がいつものやり取りをする
無邪気に笑う声をたてる結永を見てると、何だか妄想膨らませた自分がちょっと恥ずかしくなってしまった

そして、結永の隣にいる奏くんに目が向かう



彼は、翳りの見える笑顔を作り、結永を見つめていた

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