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愛を育む人 … 52 ページ5

「どうぞ皆様、お食事のご用意が整っております、お部屋にお入り下さい」

皆川さんが準備が出来てる事を伝えに来た

何時に無い伏し目がちの視線が、皆川さんの心の動きを表してる気がした、太輔もそれに気付いたようだった

オレにアイコンタクトで、とりあえず部屋へ行こう…と促して来る、軽く頷きユリアさんと大倉さんに声を掛けた

「ありがとうございます、どうぞコチラへ」
と、手を差し出すと二人が顔見合わせて微笑んだ

「おおきに、なんやヨメはんらしゅうなっとるやん」
「ホントね、太輔が毎日鼻の下伸ばしてデレてんのが見えるようだわ、…あ、ココにいたわ」

「お前らオレ揶揄いに来たのかよ、…ったく」

呆れ顔の太輔に、爆笑の二人
そのやり取りにオレも無意識に口角が上がる、でも後ろに控えてる皆川さんの表情に、ふと真顔に戻らざるを得なかった

「では、私はコレで…何かございましたらお呼び下さい」
「ありがとう、皆川」

太輔の呼び掛けに、ユリアさんがハッと目を開いた

「皆川…?アナタもしかして…?」
ユリアさんが、自室に戻りかけた皆川さんに声を掛ける、けど皆川さんは聞こえないのか、そのまま廊下の奥へと歩いていった

「ねぇあの人って皆川耕作って名前じゃない?…アナタちょっと待って…」
追いかけようとしたユリアさんを、太輔が手首掴んで制した

「ユリア、今は止めとけ」
「ちょっと太輔…っ!?」
「いいから!一旦部屋に入れって」

ワケが分からない大倉くんと、成り行きを見守るしか無いオレ…そして四人でリビングに戻った

「太輔、どうしてあの人ここにいるの?」
「皆川は、御厨が執事としてスカウトして来たんだ」
「太輔は皆川の父親と北山くんとの…コト、知ってるの?」

「全部知ってるよ、それは…宏光もね」
太輔が話すと、驚いたようにオレの顔を見た
頷いたオレに、ユリアさんの瞳から涙が零れ落ちた

「そうなのね、…父のしたことは決して許される事じゃない…貴方にも、皆川にも…ゴメンなさい…」

堪えきれなくなったように顔を覆うユリアさんの肩に、オレはそっと手を添えた

「北山くん…」
「オレの中では、もう全部終わったコトです、皆川さんにもそれは伝えました、あの日の事は、《今》を迎える為に必要なコトだった、だからもう泣かないで…、姉さん」

素直にその言葉が出た…

オレの為に泣いてくれてるこの人は、オレの姉さんだ…

「北山くん…?」


「ユリアさんがオレの《姉さん》で、とても嬉しい…」

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GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» 真の意味でイケメンなので、いつも頼ってしまいますね、こんなド素人の妄想にお付き合い下さり感謝の一言です、ちょこっとでも楽しんで頂けてたら嬉しいです!コメ大感謝です! (2020年8月6日 18時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» こんにちは!連コメ&ご訪問ありがとうございます、はい、書き手がドSなもので、ウチの藤北ちゃんはいつも辛展開でございます、ですがハピエは絶対のお約束なので、ご安心頂ければと思います、うふふ、トモはいつも救世主です、切ない思いばかりさせておりますが、 (2020年8月6日 18時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 太輔の気持ちも宏光の気持ちも痛いほどわかります…もうトモに希望を託すしかないのかな。どうにか子供と一緒に幸せになってほしい!祈るような気持ちで読んでいます。 (2020年8月6日 16時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 思います、救世主が参ります笑笑、有り得ない展開が続きますが、宜しければ続き覗いて下さればと思います!コメ大感謝です! (2019年10月3日 15時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんにちは!コメありがとうございます!はい、なんだか雲行き怪しい…、みっくん泣かせてゴメンなさい、こんな展開ばかりでホントに申し訳ありません、でもでもハピエはお約束致します、ですが移行となります、終わらないーどうしよう焦焦。。9章では光が見えてくると (2019年10月3日 15時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2019年8月31日 17時

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