君想う夢・君恋し花 …８

愛を育む人 … ８０(微改定あり) ページ35

「死亡年月日って…どういうことですかっ！？」


目を疑うような文字の羅列に、オレは声を上げた、四宮先生は詰め寄るオレを真正面から見据え、口を開いた

「…稀代の‪α‬を出産したΩは、ほぼ例外なく数年以内に人生を終わらせます…、《‪α‬‪α‬‪α‬》の強い生命力と高い知性、能力は、母体であるΩの命を浸潤することで得られると考えられています」

「そんな…っ！子どもが母体を犠牲にして成長すると言うことですかっ！？」

「そうです」
四宮先生は、冷静且つ躊躇うことなくそう言い切った

「……ッ？」

にわかには信じがたい事実に、オレは絶句しパイプ椅子に崩れる様に座り込んだ

「ウソだ…、宏光が死ぬなんてオレは信じない…」

「お気持ちはよく分かります…、ですがこれが現実です…」
「現実って…ソレを受け入れろっていうのか？このまま黙ってアイツが死ぬのを見てろって言うのか？アンタそれでも医者かっ！！何か手は無ぇのかよッっ！！」

苛立ちと焦り、そして湧き上がる恐怖感にオレは四宮先生の襟を掴んだ、怯むことなくオレを見つめ返す四宮先生の顔に、オレは覆らない現実を知った…

掴んだ襟から手を離し、持って行き場の無い心を握り潰すように掌を握り締めた

オレが、しっかりしないと…
宏光の顔を思い浮かべながら、気力だけで四宮先生に向かい合った

「宏光は、まだその事を知らないんですね…」
「…はい、ですが早い段階で私からお伝えするつもりです、藤ヶ谷さんには先にお伝えしておいた方が、混乱が少ないと思いましたので…」

言葉を探しながら伝えてくれる四宮先生に、オレは言うべき言葉が見つからない

「…本当にもう、手は無いんですか？」
「…残念ですが、現段階では…」

暗闇に引きずり込まれるような感覚…、廓に売られた時ですら、これほどの無力感と絶望感を感じたことは無かった…

「わかりました…」

何を分かれと、言うのか…

それでもそう言うしかない悔しさに唇を 噛み締め、カウンセリングルームを出ると、宏光の病室に戻るために足を進めた

けど、両足は鉛をつけられたように重く、一歩を踏み出す事に息苦しさに襲われた

数歩も歩かないウチに、廊下の椅子に倒れ込むように腰を下ろした、顔を両手で覆い見たくない現実を振りほどくように頭を振った

「なんでこんな事に……」

突きつけられた現実は、余りにも過酷で残酷だった


・・・





「…この方法なら、もしかしたら…」


(諸事情につき、改定しました…)

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