君想う夢・君恋し花 …８

愛を育む人 … ４９ ページ2

そして、この家で迎えた新年…

初めてのクリスマス、初めての新年、オレ達にとって何もかもが初めて尽くしのイベントは、思い出に残るものになっていた

新年行事なんてしたことも無いオレ、皆川さんが全て取り仕切ってくれて、恙無くお年賀挨拶のお客様をもてなしてくれた

「すみません、来年からはオレも役に立てるように、ちゃんと覚えますから…」
太輔の立場もあるし、ホント情けないなぁ…て凹んでしまう

御厨さんと部下の人達…いずれは太輔を支えてくれる事になる人達を見送った後、オレは皆川さんに頭を下げた


「何を仰っておられます、来客のもてなしは執事の役目でございます、宏光さんは太輔様の奥方様として、ドンと構えておられたら宜しいのです、宏光さんが傍に居られるだけで太輔様の気合が違います、奥方様はそれで宜しいのです」

しっかり頷きながら、そう促してくる皆川さんに、オレはなんと返せばいいのか分からない

奥方…って、オレの立ち位置ってそうなるんだ
と、改めて確認してしまう、まあ…確かに…そうかな…

「よっしゃ、今年は勉強の年だと思おう！悩んでも仕方ねぇし！」

正月仕様に飾られた玄関やら床の間を見ながら、来年のお正月に気合いを向けた


今日の午前中のお客様は終わり、
リビングに戻ると太輔が、誰かと電話をしてる
オレが入ってきた事に気付くと、目配せしてケータイを耳から少し外した

「ん？なに？」
「午後からユリアと大倉忠義が挨拶に来たいって言ってるんだけど、構わないか？」

「え、ユリアさん？オレも会いたい！大倉さんて、ただくんて人だろ？全然いいよ、来て貰えよ！」

久々聞いた名前にテンションが上がる、太輔はオレにウインクすると、「いいってさ、是非どうぞって！…おん、なら待ってるわ、はいはい…じゃぁな」

って通話を終えた

「ユリアさん来んの？やった！」
「久しぶりだよな、相変わらず《上からユリア》してんだろうなぁ…」
「いいじゃん！それでこそユリアさんだもん」
「まあな…大倉とユリアが顔見知りとは知らんかったけど…、なぁもしやあの二人付き合ってんのかな？」

ワクワクを見つけた子どもみたいな顔してる太輔、割と太輔は恋バナ好きだ、本好きなのもあるけど、恋愛小説とかよく知っててオレにも話してくる

リアル恋バナに、心を擽られてるようだ笑


「雰囲気見たらわかるんじゃね？ならオレ、おもてなしの支度してくる、ニカと皆川さんに頼んでくるな」

「うん、頼む」

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