君想う夢・君恋し花 …７

愛を育む人 … ８ ページ9

一日の終わり…自室のベッドに寝っ転がってると、宏光が戻ってきた

「やっぱ難しいな…出納帳とか、そんなのオレ付けたこと無いから、ニカと書類付き合わせてどうにか終わらせた」

「そか、ありがとな…お疲れ様…」
「皆川さん、この家を守る為にずっとこんな細かい仕事してくれてたんだな…」

ポソッと宏光が呟いてから、小さくため息を吐いた


皆川が出ていってからは、家の細々とした用事は二階堂と宏光が協力してやっていた


資産管理、健康管理、環境保全…
執事として多岐に渡る仕事を、皆川が一手に引き受け、それら全てを滞りなくこなしていた


「今更ながら、皆川さんの優秀さが分かるよ」

二人共、皆川がしていたことを間近で見ていたこともあって、どうにかこうにか…ある程度はこなしているようだった、

皆川もそれを分かっていたから、この家を出たのかもしれない…、出納帳やら書類の束を抱えて戻ってくると、それを引き出しに入れた

オレの視線を感じたのか、クルッと振り返り視線を合わせると、トコトコとやってきた

「どした太輔、今日の勉強会キツかったのか？」
ベッドの端にちょこん…と座って寝転んでるオレのアタマにそっと手を置いた、そのまま優しく撫でられるのが気持ちよくて、されるに任せて目を閉じた

いいな、こゆの……
昼間の出来事が、なんだか時間の向こう側にある様な気がした、現実逃避…なのかもしれないけど…

「ん…まぁそう、かな……、なぁ…」
「なんだよ？」

甘い微睡みを感じながら、オレは口を開いた

「あのさ、膝…貸してもらってもいい？」

無意識にそう聞いてしまってから、オレはハッと我に返った、うわぁオレなにハズいこと聞いてんだよっ！！甘えんぼさんかよっ！！

でも焦るオレとは対照的に、宏光は小さく笑い声を立て「いいよ、ホラ…」とベッドに上がりオレの隣で足を伸ばした

「特別に貸してやる、ココ来いよ」ってポンポンって、膝を叩いた
「…え、ホントにいいの？」
「おん！なんだよ、貸せって言ったのお前じゃん」って、悪戯っぽく笑った

「あ、お邪魔します…」妙な心拍を感じながら、太腿にアタマを乗せた

「女じゃねぇから、気持ちよくないだろ？」
「ﾌﾌ…、割とフンワリしてる、程よい硬さだよ」
「アホか」

軽口叩きあいながら、オレは仰向けに膝枕して貰い、宏光の顔を見上げた

いつもとは違う角度から見える宏光は、優しく微笑んで、オレの髪を手で梳くように触れてくれた


「なぁ、ひろ…」

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