君想う夢・君恋し花 …７

愛を育む人 … ３５ ページ36

「太輔様と番われた事、伺いました…、太輔様からの報告、心からホッと致しました」

ベッドから出ようとしたオレを制しながら、皆川さんがそう言って微笑んだ

「…はい、色々とご心配させて申し訳ありませんでした」
「いいえ、私こそ…宏光さんには無礼極まりない言動ばかりで、思い返しても、私がこの場にいること自体が果たして本当に許されることなのかと、今でも思います」

「そんなこと…、もう忘れて下さい…皆川さんは太輔にとってもオレにとっても、無くてはならない人です、そうじゃなければ迎えには行きません」

笑ってみせると、皆川さんさんも恥ずかしそうに控えめな笑顔を見せてくれた

「…必ずお二人の…いえ、御家族様の未来をお守りするとお約束いたします、命に変えて…」

真剣な眼差しが伝えてくる嘘のない真っ直ぐな想い、この人が入れば、きっと藤ヶ谷の未来は穏やかな光に包まれる

最高にして最強の味方…
ビジネスに於いては、御厨さん、
そしてプライベートに於いては、皆川さん、

この二人が居れば無敵だ…

新しい年に向かう今、オレは日々を満ち足りた想いで過ごせることに心から感謝していた

その内皆川さんは何かに気付いたようにオレをシゲシゲと見ると、考える仕草を見せ口を開いた

「えっと…何かありますか？」
「ﾌﾑ…髪が伸びておられますね…」
「え？そ、そうですか？」

そうかな…そう言えば前髪切ったのっていつだっけ…思い出せん…

「特に襟足…その長さでは番の証が見えません、せっかくの証…太輔様もその方が安心されるでしょう、サロンの予約をお取りしておきます、お身体の様子次第ですが、一先ず明後日に致しましょう」

「へ？」
「花嫁様は、いつも旦那様の為にご自身に磨きを掛けておかねばなりません、それも執事の仕事の内です…では、今日はごゆっくりお過ごし下さいませ」

「あ、はぁ…えと花嫁って…」
「そうでしょう、宏光さんは太輔様の番、ならばこの藤ヶ谷家の花嫁様です、違いますか？」

違いますか？と言われても…返事のしようが無くて…

「番われた今は他の‪α‬共を惹き付けることも最早ありません、外出も前ほど制限致しませんので、太輔様と睦まじく楽しくお過ごしいただければ何よりと存じます」

「あ…ありがとうございます…」
「では、予約が取れましたらお伝え致します、何はともあれ、おめでとうございます…」

もう一度深く頭を下げ、皆川さんは出て行った


そか…オレって花嫁なんだ………？？

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