君想う夢・君恋し花 …６

愛を彷徨う人 … ４７ ページ16

「太輔様…」
「太輔…」

振り返るより早く太輔の背中がオレの目の前にあった

「…お前が問いただすコトじゃない、…宏光、部屋戻ろ…」
「…畏まりました、出過ぎた真似をして申し訳ございません…」


そしてオレの手を取ると、自室に足を向けた

「太輔…、あの…」
その先を遮るように、握られた手に力が入る
部屋に入ると、少しだけ強引にソファに座らされる、隣に座った太輔がオレの目を見ながら口を開いた

「たい…」
「今日、何処かに行ってたの？」
「…うん…」
「何処に？」
「…え…あの…」

「…言えないようなトコ？」

頬を両手で包まれ、覗き込むような眼差しを向けてくる、隠しても仕方ないし隠すような事でもないよな…

「四宮先生んトコ」
「四宮…って…」
「うん、オレの…手術してくれた病院」
「え、ひろ何処か具合でも悪いの？」

一気に心配顔になる太輔、在らぬ想像をさせるわけにいかなくて、慌ててオレは首を振った

「違うよそうじゃない…お前と…その…もう繋がっても良いのか…聞いてきた…ンだ」

なんか言ってる傍からめちゃくちゃ恥ずかしくなって、オレは顔を伏せた
太輔との会話にすこーし…間が空く…

ヤバい…ぜってぇ引かれてる…

「繋がる…って…、え？もしかして…？」

「だってオマエ確認取れないとそゆのしちゃダメって言うから…、でも確認てどう取ればいいのかわかんねぇし四宮先生に聞くのが一番確実…っうわっ！」

言い切る前に太輔がギュッてオレを抱き締めた

「たいすけ…？」
「どしよ…めっちゃオレ、全身ギュンってしてる…」
「え？」
「宏光一人でソレ聞きに行かせたの、申し訳無いって思うのと同じ位、…すげぇ嬉しい…、オレと繋がりたいって思ってくれてるんだって…」

頬を寄せながらの太輔の声が、耳に心地いい…

「…うん…」
「言ってくれたら、オレ一緒に行ったのに…」
「お前はやる事沢山あるだろ、それに…二人で行く方が…なんか恥ずかしい…」
「あ、そか…ちょっと生々しいかな？」

楽しそうにフフって微笑む太輔に、オレはどう返せば良いのか分からなくて「バカ…」と文句を言った、


「ココ乗って」っとポンポン膝叩くから、跨ぐようにして乗っかると、サイドの髪にそっと手が通され後ろに撫でるようにして触れてきた、熱っぽく見つめてくる瞳に、胸の奥が軋むような音を立てた


「…ひろ、皆川が言ってたこと、聞いていい？」


「うん…、トモが病院に連れていってくれたんだ」

愛を彷徨う人 … ４８→←愛を彷徨う人 … ４６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す