おおかみっくん part12 (ページ20)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:22,608 hit

20. ページ20

＿＿＿you side

「天気いいしテラス席にしよっか」

ってどこまでもスマートなたいちゃんにただ従う私。

「美味しい？」

『……ぅ、ん』

「ここね、夜になるとすげー夜景が綺麗なんだー。」

『………………………』

「あとねー、カレーも絶品なんだよ？あっ、食べる？お腹空いてる？俺もね、実はお腹空いてるんだよね」

って早口に次から次へと話しかけてくれるたいちゃん。

「…A？どうしたの？」

『…ちょっと』

それだけ言って黙り込んだ私と黙ったまま心配そうに私を見つめるたいちゃん。

暫く沈黙が続いて

「…ごめんな、Aが何に悩んでるかわからないからさ何も言ってあげられないんだけど…

俺にできる事があれば全力で力になってあげたいって思ってる。」

『……………………』

たいちゃんの優しさに俯く私は、涙を堪えるのに必死だった。

「どんな小さなことでも言って。」

『………………ごめ、ん』

堪え切れなくなった涙がポタポタと洋服に落ちて色が濃くなってく。

理由も無理に聞き出さないたいちゃんの優しさも、
優しい言葉をかけてくれるたいちゃんの優しさも精神的にダメージがある今の私には、身に沁みすぎて…

涙が止まらなくなった。