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「…悪い。もうすぐリハ始まるから、もう行くわ」
『えっ？…あ、うん！頑張って！』
少し拍子抜けした声を上げた私に、志麻は笑みを含んだ表情で口角を上げた。彼の綺麗な顔立ちが、どこか誰かと重なって見える。
「俺思うけど、お前やっぱうらたさん好きやろ」
最後に爆弾を残して、志麻は部屋を出ていく。ドアの閉まる音がやけに部屋に響き、同時に何か虚しさを感じた。
『(私は、渉が好きなの？)』
小学生や中学生の頃、よく国語の先生とかに「答えは自分の胸に直接聞いてみて？そして、自分の本心を言葉に纏めるんだよ。」だなんて馬鹿げたことを聞かされた。
自分の胸に聞いて、どうやって本心なんか分かるの？本心って、そんな簡単に見つかるものなの？
…あぁ、私あれじゃん。
小学生からやり直すべきなんじゃないの？
『(私は、渉が好き？)』
つい、馬鹿げた先生の話を信じてみたくなった。胸に手を置いて、大きく深呼吸をして、そしたら本心が分かるようになる？
ｽｰ…ﾊｰ…
『(…一度、整理をしよう。)』
高校時代に出会った私と渉は両想いになり、恋人関係になり、結婚した。だがそれは盲愛症候群により志麻との記憶が抜けた私に、上書きされた新しい渉との記憶かもしれない。
そして、私が渉と付き合ってから美怜を好きになった志麻。美怜は薄っぺらく、一言で言えばクズな性格。だが美怜の本当の気持ちを知っていたセンラさんが、それを志麻にも話した。
志麻は美怜を補う為に、私は渉を補う為に、お互いに浮気した。
渉は美怜と浮気疑惑。夫婦で互いに浮気をした上で、絶対戻ると約束した上で1ヶ月の別居を決定。
そして突然、美怜が死んだ。
『(全然、結びつかない…)』
センラさんは、何に気づいたのだろう。
私には気付けなくて、センラさんには気付けること。それは何だ？
『客観的に、？』
私はメモとペンを取り出し、考えていたことを図式化して書き出す。事実だけを淡々と綴り、10分程してから、私はよくやくペンを動かす手を止めた。
関係図っぽくなったそれを、じっと見つめる。
『(…あ。)』
あぁ、なんだ。
こうすれば普通に分かるじゃんか。
とある浮かび上がった一つの仮定と事実に、
私は小さく息を飲んだ。
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ハクト(プロフ) - 奏斗さん» コメントありがとう！覚えてるよ、久しぶりだね！奏斗の作品こそ文の表現が綺麗で、とても勉強になります笑 毎日更新していく予定だから、良ければまた読みにきてね！(*^^*) (2020年7月2日 22時) (
レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
奏斗(プロフ) - 展開が読めないところが面白い！惹かれた！更新頑張って！(思わずタメで話しちゃったけど、覚えてないよね、ごめんなさい) (2020年7月2日 22時) (レス) id: 2650d5f3fb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» 完全に打ち間違えでした、ご指摘ありがとうございます！ (2020年7月2日 18時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - 消防車？救急車じゃなくて？(きつく聞こえてたらすみません)夢主ちゃんいい性格してる (2020年7月2日 18時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます！読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、楽しんで頂けたら本望です(*^^*) (2020年7月2日 12時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハクト | 作成日時：2020年7月1日 22時
