Liar Smile！２ (ページ30)

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20-6 (奏多) 壊れてしまわぬ様にページ30

Aはあの頃一度は教師を頼ったらしい。

だけど･･････

結局、たかが教師に何が出来る理由でもなく

- 先生･･････私にも非があるって･･･余計に酷くなって･･･っ -

状況を悪化させただけ。

その癖、三年の頃担任だった地味な教師は
今でもAを悩ます種で

(いい加減、諦めないかな･･･あの教師も。)

俺は苛立つ一方だった。

騒ぎが収まると今度は

『嘘っぽいのよ、その笑顔。笑ってるのに笑ってない。感覚的に笑って見せてるだけみたいな感じ。』

『･･････人形みたいよ、ホント。別にアンタがそれでいいならいいし、過去を詮索する気はないけど。アンタの言う友達って･･･取り繕ってその場限りで笑ってればいいのが友達なんだ。』

Aの前の席に座る女子生徒が
そんな言葉を向ける。

見渡す限り男しかいない教室に
唯一の女は彼女だけの様で

はっきり物事を言うのは嫌いじゃなくても
その言葉はあまりに的を得てて
曇っていくAの表情が痛かった。

「荒療治･･････何処じゃないじゃん、夏奈さん。こんなの･･････傷が広がるだけだ。」

.

.

.

昼になるとAは教室を抜け出して
人気のない外の広場のベンチで独り･･････

(もういいや･･････連れて帰ろ。)

そんな悲しい背中を見てられなくて
深いため息をついてAの元へ向かうと

「隠すならもっと上手く隠せば。」

「何･･････が･･･「ここの傷(････)」

あの男の声が聞こえて

「笑ってりゃいいってもんじゃねぇーよ。」

ギュッと、拳を握り締めた。

Aの･････････表情が静かに変わっていくのを

俺はその場から見てるしかなくて

「俐久が何を吹き込んだか知らないけど、アンタなんかに私の心(ここ)に入り込んで欲しくないの。同じ目･･････？ありえないでしょ。私とアンタは違う。」

決して俺ら(兄弟)には見せない

心の内側が浮き彫りになっていく。

Aの中に

あの出来事が生んだ闇が

潜んでいる事を知ってても

俺ら(兄弟)には引き出して
開放してあげられなかったものを

この男が引き出したんだ。